ミリノケット (T-EPF-3)

USNSミリノケット（T-EPF-3）

USNSミリノケット（USNS Millinocket, JHSV-3/T-EPF-3）は、アメリカ合衆国海軍に所属する遠征高速輸送艦の一隻です。本艦はスピアヘッド級遠征高速輸送艦の3番艦として建造されました。その艦名は、アメリカ合衆国メイン州に実在する町であるミリノケットに由来しています。

艦の経歴

ミリノケットの誕生は、アメリカ陸軍とアメリカ海軍が協力して進めていた統合高速輸送艦（Joint High-Speed Vessel、略称：JHSV）の調達計画に遡ります。この計画において、本艦は当初「フォーティテュード」（Fortitude）という名称で呼ばれていました。プロジェクトの初期段階では陸軍の管轄下にありましたが、2011年には海軍へとその所属が移管されました。その後、2012年5月30日付けで、艦名は正式に現在の「ミリノケット」へと改められました。

建造と就役

本艦の具体的な建造作業は、アラバマ州モービルにある造船会社、オースタル USAによって行われました。2012年5月3日に最初の工程である起工式が執り行われ、船体の骨格が据えられました。約一年後の2013年6月5日には、船体が初めて水に浮かぶ進水式が行われ、その姿を現しました。進水後、各種システムの性能や船体の安全性を確認するための海上公試が実施され、これは同年12月までに無事完了しました。これらの試験を経て、ミリノケットは2014年3月21日に正式に就役し、アメリカ海軍の艦船として活動を開始しました。就役後は、軍事海上輸送司令部（Military Sealift Command）に配備され、主に物資や人員の輸送任務に就くこととなりました。

艦種記号の変更

就役当初、本艦は統合高速輸送艦としてJHSV-3という艦種記号を与えられていましたが、その後の分類の見直しに伴い、艦種記号が変更されました。2015年9月に、JHSVという分類は「遠征高速輸送艦」（Expeditionary Fast Transport、略称：EPF）という新たなカテゴリーに改称されました。これにより、ミリノケットの艦種記号もJHSV-3からT-EPF-3へと変更されました。この「T」は、軍事海上輸送司令部（MSC）所属の非武装船を示す記号です。

ミリノケットは、その高い速力と貨物積載能力を活かし、人道支援、災害救援、兵員輸送、装備品輸送など、多様な任務に対応可能な柔軟な輸送プラットフォームとして運用されています。迅速な展開能力は、遠隔地やインフラが未整備な地域へのアクセスを可能にし、アメリカ海軍および統合軍の兵站能力向上に貢献しています。本艦は、その設計思想に基づき、グローバルな海洋における様々な事態への対応を支える重要な役割を担っています。

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