ミルティアデス (ローマ教皇)

ミルティアデスは、311年7月10日から314年1月10日までローマ教皇を務めた人物です。彼の生涯については、詳細が不明な点が多く残されています。出身地はアフリカであるという説が有力ですが、黒人ではなかったという記述もあり、正確なところはわかっていません。

教皇としてのミルティアデスは、ローマにおけるキリスト教の重要な拠点である「ラテラノ・ヨハネ大聖堂」（サン・ジョバンニ・イン・ラテラーノ）の建設に関与したと伝えられています。この大聖堂は、後のローマ教皇庁の重要な拠点の一つとなりました。彼の教皇就任は、前任者エウセビウスの死後、4年の空白期間を経て実現しました。

ミルティアデスの死後、12月10日が祭日と定められ、列聖されました。彼は自然死であったとされていますが、当時、反キリスト教政策を敷いていた皇帝マクシミアヌスの治下で教皇を務めたため、殉教者として扱われることもあります。その苦難の状況下での信仰を守り抜いた姿勢が、後世に大きな影響を与えました。

ミルティアデスに関する有名な逸話として、コンスタンティヌス大帝の「汝これにて勝て」の物語があります。ミルウィウス橋の戦いにおいて、コンスタンティヌス帝が空に十字架の印とともに「汝これにて勝て」（希: εν τουτωι νικα）というギリシア文字を見たというものです。この出来事が、コンスタンティヌス帝がキリスト教に理解を示すきっかけとなり、戦いの旗印としてモノグラム☧（キー・ロー）を採用したラバルムを掲げ、勝利を収めたとされています。

この勝利後、ミトラ教徒であったコンスタンティヌス帝はキリスト教に改宗し、ミラノ勅令を発布してキリスト教を公認しました。この勅令は、ローマ帝国におけるキリスト教の地位を大きく向上させる画期的な出来事でした。ただし、コンスタンティヌス帝は改宗にあたってすぐに洗礼を受けたわけではなく、臨終の際に洗礼を受けたと言われています。ミルティアデスは、コンスタンティヌス帝のキリスト教への改宗における重要な役割を担った、歴史的に重要な教皇の一人として記憶されています。その生涯は謎に包まれている部分も多いものの、その功績は今日まで語り継がれています。

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