ミルトン・オボテ

アポロ・ミルトン・オボテ：ウガンダの激動の政治家

アポロ・ミルトン・オペト・オボテ（1924年12月28日 - 2005年10月10日）は、ウガンダの独立と激動の時代を象徴する政治家です。彼は首相、そして大統領としてウガンダの政治を主導しましたが、クーデターによる失脚と復帰、そして再び失脚という波乱万丈な生涯を送りました。

生い立ちと政治活動の始まり

オボテは、現在のウガンダ北部アパッチ県に位置するランゴ地方のアココロ村で、ランゴ族の首長の家庭に生まれました。彼は幼い頃から教育を受け、リラのミッションスクールやグルの中学校を経て、ブソガ高校、そして名門マケレレ大学へと進学しました。マケレレ大学では語学の才能を発揮する一方で、ストライキに参加したことが原因で大学を追放されるという経験もしています。その後、建築会社での勤務やケニアでの独立運動への参加を経て、1956年にウガンダへ帰国。ウガンダ国民会議 (UNC) に加入し、政治家としての道を歩み始めました。

1958年には立法評議会議員に選出され、政治的な影響力を増していきます。UNCが分裂すると、オボテは自身の派閥を率い、ウガンダ人民連合 (UPU) と統合してウガンダ人民会議 (UPC) を結成、その総裁に就任しました。1961年にはブガンダ王党派のカバカ・イエッカ (KY) と連立を組み、多数派を形成。1962年、ウガンダ独立時に首相に選ばれました。

大統領への道と独裁政治

首相として権力を掌握したオボテは、国軍副司令官であったイディ・アミンとの関係を深めます。しかし、議会で金の密輸疑惑が浮上し、アミンの罷免を求める声が高まると、オボテは憲法を停止し、自ら大統領に就任。非常事態を宣言し、対立する派閥の閣僚を逮捕・監禁するという強硬手段に出ました。これに対し、ブガンダ議会が独立を宣言すると、オボテはアミンにブガンダ王宮を攻撃させ、ムテサ2世を亡命に追い込みました。

1967年には憲法を改正し、大統領権限を強化すると共に連邦制を廃止。1969年には政党を禁止し、政治的な対立者を投獄するなど、独裁的な体制を確立しました。彼は「一般庶民の憲章」を発表し、社会主義政策を推進しましたが、部族主義の廃止を主張したことが、後のクーデターの一因となりました。1970年には国内の主要企業や銀行の株式の51%を国有化し、経済への国家介入を強化しました。

クーデターと亡命、そして復帰

オボテ政権は軍、特にイディ・アミンに大きく依存していました。しかし、1969年頃から二人の間には緊張が生じ始め、1971年1月、オボテがシンガポール訪問中にアミンがクーデターを決行。オボテは失脚し、タンザニアへと亡命を余儀なくされました。このクーデターは、オボテ政権と西側諸国との関係悪化が背景にあり、西側からの警告や支援があったとも言われています。

アミン政権崩壊後の1980年、オボテは大統領に返り咲きましたが、1985年、再びクーデターによって失脚。再びタンザニアに亡命し、その後ザンビアの首都ルサカで亡命生活を送りました。2005年10月10日、南アフリカのヨハネスブルグで80歳で死去しました。

アポロ・ミルトン・オボテは、ウガンダの独立と発展に貢献した一方で、独裁的な政治手法やクーデターによる失脚など、その評価は分かれています。彼の生涯は、アフリカの政治的混乱と独立後の国家建設の難しさを象徴するものと言えるでしょう。

もう一度検索