ミロシュ・オブレノヴィッチ1世

ミロシュ・オブレノヴィッチ1世：セルビア近代化の礎を築いた公

ミロシュ・オブレノヴィッチ1世（1780年 - 1860年）は、19世紀のセルビア公であり、オスマン帝国からの自治権獲得とセルビアの近代化に大きく貢献した人物です。彼は、第1次セルビア蜂起に参加し、その後オブレノヴィッチ家を興し、セルビアを自治公国へと導きました。

生涯

生い立ち

ミロシュは、1780年にモンテネグロの貧しい農家の息子として生まれました。本名はミロシュ・テオドロヴィッチといいましたが、異父兄のミランの死後、オブレノヴィッチ姓を名乗るようになりました。若い頃は、裕福な家畜商の使用人として働いていました。

セルビア蜂起への参加と指導者への道

ミロシュは、第1次セルビア蜂起に参加し、オスマン帝国に対する抵抗運動に身を投じました。蜂起が失敗した後もセルビアに残り、1815年に第2次セルビア蜂起を指導しました。当初はオスマン帝国軍に劣勢でしたが、交渉によって自治権を獲得し、セルビアの指導者としての地位を確立しました。1817年には、カラジョルジェ・ペトロヴィッチを暗殺し、セルビア人の指導者としての地位を確立しました。

セルビア公としての統治

1817年、ミロシュはセルビア公に就任し、オスマン帝国の宗主権下で自治公国としてのセルビアを統治しました。彼の統治は専制的でしたが、セルビアの近代化を推し進め、領土拡大や正教会の独立、ロシアの保護権獲得など、多くの成果を上げました。しかし、その専制的な統治に対してセルビア人はたびたび反乱を起こしたため、1835年に憲法を制定することを承認しましたが、セルビアの隣国オーストリア、宗主国オスマン帝国およびロシアの3帝国は、憲法は自らの絶対主義的政治形態を脅かすものとみなし、この動向に反発し、憲法は廃止されました。

退位と復位、そして死

1839年、ミロシュは長男のミランに譲位しましたが、ミランは数週間後に死去したため、次男のミハイロが公位を継承しました。しかし、1842年にミハイロは廃位され、オブレノヴィッチ家は一時的に権力の座から退きました。1858年、ミロシュは復位し、晩年の2年間を再びセルビア公として過ごしました。1860年に死去し、セルビアの近代化に貢献した彼の功績は、今日でも高く評価されています。

家族

1805年にリュビカ・ヴコマノヴィッチと結婚し、多くの子女をもうけました。息子であるミランとミハイロもセルビア公となりました。

ミロシュ・オブレノヴィッチ1世は、セルビアの歴史において重要な人物であり、その生涯はセルビアの独立と近代化の過程を象徴しています。

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