ミロ・ジュカノヴィチ

ミロ・ジュカノヴィチ：モンテネグロの政治を牽引した男

ミロ・ジュカノヴィチ（Milo Đukanović）は、1962年2月15日生まれ。モンテネグロの政治家であり、同国の大統領（ユーゴスラビア連邦時代を含む）、首相（3期）などを歴任しました。モンテネグロ社会主義者民主党の党首も務めています。

政治家としての経歴

ジュカノヴィチは、モンテネグロの政治において、非常に重要な役割を果たしてきました。その政治家としての歩みを以下にまとめます。

大統領当選：2018年4月15日の大統領選挙で53.8％の票を獲得し、当選。同年5月20日に大統領に就任。
日本の即位礼正殿の儀に参列：2019年10月22日には即位礼正殿の儀に参列し、翌日には安倍晋三首相と会談。
* 大統領選挙での敗北：2023年3月19日の大統領選挙第1回投票では1位となったものの、決選投票でヤコフ・ミラトビッチに敗北。

物議を醸した事件

ジュカノヴィチの政治家人生は、数々の疑惑や事件によって彩られています。その中でも特に注目すべきは以下の2点です。

タバコ密輸疑惑

アムネスティ・インターナショナルの報告書によると、ジュカノヴィチが指揮するグループが、アドリア海を通じてタバコをイタリアへ密輸し、イタリアの国家予算に数十億ユーロの損害を与えた疑いが浮上しました。イタリアの最高裁判所は、ジュカノヴィチが組織的なマフィアグループの指導者である疑いに基づき、逮捕を承認しましたが、モンテネグロの裁判所に移送後、訴訟は保留となりました。アムネスティ・インターナショナルは、モンテネグロの司法の麻痺を批判しています。

セルビア正教会大司教即位阻止事件

2021年9月5日、セルビア正教会のモンテネグロおよびリトラルの大司教であるイオアニキ2世の即位式典が、ツェティニェの修道院で開催される予定でした。ジュカノヴィチはこれに反対し、式典の場所を移転するように求めました。結局、即位式は予定通り執り行われましたが、ジュカノヴィチの行動は政教分離の原則に違反するのではないかという議論が起こりました。モンテネグロ議会は大統領弾劾の提案を採択しましたが、憲法裁判所はジュカノヴィチの行為は違憲ではないと判断し、弾劾手続きは停止されました。

首相候補拒否事件

2022年9月19日、与党連合はミオドラグ・レキッチを新首相に推薦しましたが、ジュカノヴィチは議会の過半数を確保できる保証がないことを理由にこれを拒否。早期の解散総選挙を要求しました。この動きに対し、新セルビア民主主義党首のアンドリヤ・マンディッチは、ジュカノヴィチがクーデターを試みていると非難しました。その後、議会は首相推薦権を大統領から議会に移譲する法改正を可決しましたが、ジュカノヴィチは法改正そのものが違憲であるとして、この結果を承認しませんでした。

まとめ

ミロ・ジュカノヴィチは、モンテネグロの政治に大きな影響を与えた人物であることは間違いありません。しかし、その政治手法や、彼自身にまつわる疑惑については、賛否両論があります。彼の功績と問題点を総合的に評価することが、モンテネグロの政治を理解する上で重要です。

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