ミンゲチェヴィル

ミンゲチェヴィル：アゼルバイジャンの「光の都市」

アゼルバイジャン共和国クバ・カチュマズ地方に位置するミンゲチェヴィル（アゼルバイジャン語: Mingəçevir）は、同国第4位の人口を誇る都市です。2015年時点での人口は約10万人。クラ川が都市を貫流し、その川上に建設された巨大な水力発電所は、ミンゲチェヴィルに電力を供給し、この都市を「光の都市」として知らしめています。

古代からの歴史

ミンゲチェヴィルの歴史は古く、紀元前3000年頃には既に人々が定住していた痕跡が確認されています。紀元前2世紀にはカフカス・アルバニア王国の支配下に置かれ、紀元前1世紀には、現在のダムのあるクラ川の丘で、ローマ帝国軍とカフカス・アルバニア王国軍が激突した歴史的な戦場となりました。

17世紀には、オスマン帝国の旅行家エヴリヤ・チェレビがミンゲチェヴィルを訪れ、その記録を残しています。彼の記述によると、ボズダグ山の近くのクラ川の丘には大きな町があり、モスクに加えて絹糸・絹服工場や公衆浴場が存在し、主要な大通りは「使者の道」と呼ばれ、中東の大都市と繋がる重要な交易路の一部であったことがわかります。

ソ連時代の開発と発展

1930年代半ば、大規模な水力発電所の建設が始まる前に、人類学者による調査が行われました。しかし、第二次世界大戦によってこの調査は中断。戦後、水力発電所の建設が再開されると、全国から2万人の労働者が集結し、その半数はドイツ人捕虜でした。この大規模プロジェクトによって、ミンゲチェヴィルは大きく変貌を遂げ、1948年には正式に市に昇格しました。現在では、ミンゲチェビル工芸機関も設置され、地域社会に貢献しています。

文化と地理

ミンゲチェヴィルの住民の98％はアゼルバイジャン人で、99％がイスラム教徒です。クラ川とその周辺の豊かな自然は、都市の景観に彩りを添えています。歴史と近代が融合した、独特の雰囲気を持つ都市です。長年にわたる交易拠点としての歴史は、ミンゲチェヴィルの多様な文化を育んできました。現在も、その歴史と伝統を受け継ぎながら、発展を続けています。

まとめ

ミンゲチェヴィルは、古代からの歴史と、ソ連時代の開発によって形成された、アゼルバイジャンを代表する都市のひとつです。「光の都市」という呼び名からもわかるように、近代的なインフラと、豊かな自然が共存する魅力的な場所です。水力発電所を基盤とした経済活動と、歴史的遺産を大切にしながら、未来へと発展を続けるミンゲチェヴィルは、アゼルバイジャンの発展を象徴する都市と言えるでしょう。

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