ムラサキサギゴケ

ムラサキサギゴケ（紫鷺苔）

ムラサキサギゴケ（学名: Mazus miquelii）は、サギゴケ科サギゴケ属に分類される多年草です。植物分類学上はサギゴケが標準和名であり、ムラサキサギゴケはその別名とされています。ただし、白い花を咲かせる個体のみを特にサギゴケと呼ぶ場合もあります。

和名の由来は、紫色の花が鷺（サギ）が飛んでいるように見えることに加え、苔のように地面に広がって生える様子から名付けられました。

特徴

分布と生育場所

本州、四国、九州に分布し、日当たりの良い湿った野原や水田のあぜ道などに自生します。群生していることが多く、春から初夏にかけて花を咲かせます。

草姿

多年草であり、匍匐茎を伸ばして繁殖します。

花

花期は4月から6月頃。花の色は通常紫色ですが、まれに白い花を咲かせる個体も見られます。花の形は唇形で、上にめくれた小さな上唇と、3つに裂けた大きな下唇から構成されています。花の基部は筒状になっています。

下唇の中央には、黄褐色の目立つ斑紋があり、細かい毛が生えています。この斑紋は、昆虫にとって蜜の場所を示す目印となり、同時に足場としての役割も果たします。

上唇は浅く切れ込んでいるため、裂け目が分かりにくい場合があります。

受粉の仕組み

上唇の内側には、4本の雄蕊と1本の雌蕊があります。訪れたハナバチの頭や背中に確実に接触し、受粉を促す構造になっています。

雌蕊の柱頭は2つに分かれており、触れると閉じるという特徴的な柱頭運動を行います。この運動は、送粉者に付着した花粉を積極的に取り込み、受粉を促進する役割があると考えられています。

この動きが女性の情熱的な様子に例えられ、「ジョロウバナ」という別名がありますが、漢字で「女郎花」と書くと、それはオミナエシを指します。

変種

サギゴケ (Mazus miquelii f. albiflorus (Makino) Makino)：白い花を咲かせる品種。
モモイロサギゴケ (Mazus miquelii f. roseus (Honda) Nakai)：桃色の花を咲かせる品種。
ジャカゴソウ (Mazus miquelii f. contractus (Makino) Sugim. ex T.Yamaz.)

近縁種

一年草であるトキワハゼは、ムラサキサギゴケと似た同属の植物です。

参考文献

亀田龍吉『ルーペで発見! 雑草観察ブック』世界文化社、2019年3月15日、20 - 21頁。ISBN 978-4-418-19203-8。

関連項目

トキワハゼ

外部リンク

サギゴケ - ウェイバックマシン（2002年3月9日アーカイブ分）（植物雑学事典）
* ムラサキサギゴケ（植物図鑑・撮れたてドットコム）

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