ムルロア環礁

ムルロア環礁の概要

ムルロア環礁（ムルロアかんしょう）は、南太平洋に位置するフランス領ポリネシアの環礁です。この環礁はトゥアモトゥ諸島の南部にあり、南緯21°50′、西経138°55′の地点に位置しています。

環礁の特徴

ムルロアは、東北東から西南西にかけて長さ24km、幅13kmという広さを有しています。環礁の周囲には、東側で約300m、西側で約160mの距離に礁の淵があります。北西側は低く、大西洋との接続を持つ水路があります。潮流は変化が激しいですが、通常は水路の進行方向に沿って時速約1ノット未満です。

環礁内には、高さ15～80mの建物やクレーン、滑走路が存在します。また、礁湖中央部にはレーダービーコンとして機能する灯台もあります。礁湖への航路は、水深10m及び幅100mで確保されており、ブイやビーコンによって導かれています。このため、環礁に向かう船舶は、接近時に地方自治体と交信し、到着予定を通知する必要があります。

水先案内人による誘導が義務付けられており、VHFの11チャンネルで連絡を取ります。また、環礁内には水深11mの埠頭など、いくつかの停泊所があります。平均37mの水深を持つ礁湖には、サンゴ礁が点在しているため、航行には注意が必要です。水深は地域によって異なり、東側は20～30mと比較的安定しています。

進入の際は、灯台を目指して96.5度の方位で進む必要がありますが、北西風が吹いていると海面が荒れることがあります。環礁へのアクセスは、地元のフランス軍によって規制されることがあり、無許可での入域は禁止されています。

核実験場としての歴史

ムルロア環礁は、1966年から1996年までフランスの核実験場として使用されていました。約200回にわたる大気圏内および地下核実験が行われ、多くの抗議行動が起きています。大気圏内核実験中は、実験開始時間が事前に通知され、立ち入り禁止区域が設けられました。例えば、1971年には、船舶の立入禁止半径が約220kmとして警告が発出されました。

1970年には、「ムルロア実験反対委員会」が設立され、南太平洋大学や各種団体が参加していました。1975年には非核太平洋会議を開催し、フランスの核実験反対や太平洋地域の非核化を訴えました。これにより、地域の各団体が連携を強めることができました。

2013年に機密解除された文書によると、1974年の核実験「サントール」によって、当時のフランス領ポリネシアの約11万人が汚染されたと推定されています。このように、ムルロア環礁はその歴史において核実験の影響を強く受けた場所でもあり、その後の影響は現在でも続いています。

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