ムーの白鯨

『ムーの白鯨』の概要

『ムーの白鯨』は、日本テレビ系列で1980年に放送されたテレビアニメで、よみうりテレビと東京ムービー（トムス）によって制作されました。全26話で構成されたこのアニメは、原作なしのオリジナルSF作品として位置付けられています。ナレーションは安原義人が担当し、物語は異次元から復活したアトランティスと、その対抗勢力としてのムーの戦いを描いています。

制作段階から海外での放送を意識しており、各国で通じる名前のキャラクターが登場することが特徴です。例えば、主人公の「剣」「譲」「麗」「信」などは、多くの国で使われる名前です。アニメは「MOBY DICK 5」や「MU THE WHITE WHALE」として国際的に展開され、イタリアや台湾などで放送されました。

ストーリー

物語は1982年の地球で、惑星直列が起こったことで異常現象が世界各地で発生します。この事態の背後には、3万年の時を超えたアトランティス大陸の出現が隠されていました。一方で、太平洋の深海に眠っていた巨大な存在が目覚めます。

3万年前、アトランティスとムー、二つの文明が地球に存在しました。平和を重んじるムーは、白鯨を象徴とし、太陽の光の下で人々が安らかに暮らしていました。対照的に、アトランティスは戦闘を好む民族で、強力な軍事国家を築いていました。アトランティスの帝王ザルゴンは、オリハルコンという強力な資源を用いて軍事力を増強し、ムーとの衝突を積極的に進めます。

ムーの指導者ラ・ムーは、両者の対立が地球を滅ぼす危機を感じ、自らの力と引き換えにアトランティスを異次元に送り込み、ムーも深い海の底に沈めます。

現代になってアトランティスが復活した際、彼らは失われた力の象徴であるオリハルコンを求めて地球に侵攻します。その時、ラ・ムーの脳は白鯨に移植されており、彼はメインキャラクターたちと共にアトランティス帝国に立ち向かいます。少年少女たちはイースター島に集まり、ラ・ムーの娘であるマドーラと共に戦うことになります。

主な登場人物

• - 白銀 剣（ケン）: 本作の主人公で、ムー戦士長ケインの生まれ変わりです。最初は適応に苦しみながらも、使命感を持つリーダーとなります。

• - 白城 譲（ジョー）: 高い身体能力を持つムー戦士で、元サッカー選手です。

• - 白鳥 麗（レイ）: 予知能力を持つテニス選手で、譲とのかつての関係が物語に彩りを与えます。

• - 白風 信（シン）: 心優しい巨漢で、オリハルコンに強い知識を持つ「ガク」の兄的存在です。

• - ラ・ムー: ムーの導き手であり、アトランティスの脅威に対抗するために自らの身を犠牲にします。

• - マドーラ: ラ・ムーの娘で、物語の中心的なヒロインとしてアクションを繰り広げます。

主要な舞台

物語の舞台にはイースター島や富士山、ヒマラヤ、南極などが含まれており、古代文明の遺跡など様々なロケーションが使用されています。特にイースター島はムーの神殿跡が物語の中心的な場所となります。これらの背景は、アトランティスとムーの対立を色濃く映し出しています。

評価

『ムーの白鯨』は放送当初から様々な評価を受けており、特にキャラクターの成長や壮大なストーリー展開が視聴者に強い印象を与えました。また、制作スタッフは後に「六神合体ゴッドマーズ」を手掛けるなど、今なお多くのファンを持つ作品です。

最終的に、『ムーの白鯨』は80年代のSFアニメの中で特別な地位を占めており、後世の作品にも影響を与え続けています。

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