ムーニング

ムーニング（mooning）とは、下半身の衣服（スカートやズボンなど）と下着（パンティーやボクサーブリーフなど）を下げ、臀部を露出させる行為を指します。場合によっては、陰部（女性器、男性器）も露出する状態となることがあります。

歴史と語源

この行為は、英語圏では長らく抗議やいたずら、嫌がらせとして行われてきました。無礼な行為とみなす国も依然として存在します。しかし近年では、歓迎や親愛の情を示す意味合いで用いられることもあります。

「ムーニング」という言葉の語源は、1743年頃のイングランドで尻を指す俗語「moon」に由来します。「to moon」という言葉は、1601年から「（月）光に露出する」という意味で使用されていました。さらに古くは、「wandering idl」（ぼんやりとさまよう）や「romantically pinin」（ロマンチックに憧れる）といった意味のスラングとしても使われていました。

中世においては、マクラーレンによる記述で「敵を恥じる尻」の意味で使われ、農民文化で長く用いられた後、「ぼんやりとさまよう」および「ロマンチックに固定する」とも表現されました。19世紀にはムーニングの行為が広まり、オックスフォード英語辞典では、1960年代の学生スラングに対する行為を解説する際に「moon」と「mooning」を使用しました。この頃、アメリカの大学生の間でムーニングが流行しました。

法的解釈

ムーニングの法的解釈は、国や地域によって異なり、時に議論の対象となります。

2006年1月、アメリカのメリーランド州の裁判所では、ムーニングが憲法修正第1条によって保障される表現の形式であると判断されました。裁判所は、公然わいせつは性器の露出にのみ関連するとし、ムーニングは「嫌みな」「卑劣な」行為ではあるものの、臀部の露出は公然わいせつには当たらないと判断しました。この判決では、「臀部露出が公然わいせつであるとすると、オーシャンシティのビーチでひも水着を着用している女性は誰でも有罪となる」という指摘がなされました。

1983年には、米国最高裁判所の前で、体の正面を覆う段ボールの看板だけを身に着けて抗議した女性が逮捕された事件を例に挙げ、コロンビア特別区控訴裁判所が公然わいせつは性器に限定されるという判決を下しました。その後、検察官が事件を取り下げたため、高等裁判所での審査は行われませんでした。

また、2000年12月には、カリフォルニア州の州控訴裁判所は、ムーニングの行為が性的な動機によるものであると合理的な疑いを超えて証明されない限り、公然わいせつには当たらず、性犯罪者登録法の対象にもならないと認定しました。

一方、2016年1月、オーストラリアのビクトリア州では、公共の場所でのムーニングが刑事犯罪となり、罰せられる可能性が生じました。

文化的な側面

ムーニングは、その歴史の中で、抗議やいたずら、ユーモア、親愛の情など、様々な意味合いを帯びてきました。文化や状況によって、その解釈は大きく異なります。

日本では、アニメ作品「クレヨンしんちゃん」に登場するケツだけ星人のように、コミカルな表現として描かれることもあります。また、映画「プライベートスクール」では、ラストシーンにムーニングの行為が登場し、日本公開時には「みんなで広げよう、お尻の輪」というキャッチコピーが使用されました。

ムーニングは、単なる露出行為を超えた、文化的、社会的な意味を持つ行為として、今もなお議論の対象となっています。その解釈は時代や場所によって変化し続けています。

関連項目

公衆の面前でのヌード
尻
クレヨンしんちゃん
プライベイトスクール

もう一度検索