メアリ・オブ・ギーズ

マリー・ド・ギーズ：スコットランド女王メアリー・ステュアートの母、激動の時代を生きた女性

マリー・ド・ギーズ（1515年 - 1560年）は、スコットランド王ジェームズ5世の妃であり、スコットランド女王メアリー・ステュアートの母として知られています。フランスの大貴族ギーズ家出身であり、その生涯はスコットランドとフランスの政治、宗教的対立の渦中にありました。彼女は摂政として、カトリックとプロテスタントの対立、親仏派と親英派の抗争が激化するスコットランドで舵取りを強いられました。

生涯

結婚とスコットランドへ

マリーは1534年にフランス貴族と結婚しましたが、死別。その後、ジェームズ5世に請われ、1538年にスコットランド王妃となりました。当時のヨーロッパにおいて、王室の結婚は国家間の同盟を意味し、マリーの結婚もフランスとスコットランドの関係を強化するものでした。しかし、スコットランド宮廷は複雑で、ジェームズ5世には多くの庶子がおり、マリーは孤独を感じることもありました。

メアリー・ステュアートの誕生とジェームズ5世の死

1542年、マリーは後のスコットランド女王となるメアリー・ステュアートを出産。しかし、その直後にジェームズ5世が死去し、幼いメアリーが女王として即位することになりました。マリーは摂政として、スコットランドの政治を担うことになります。

摂政としての苦難

マリーが摂政として直面したのは、宗教改革の波でした。プロテスタントの勢力が拡大する中、カトリックのマリーはジョン・ノックスをはじめとする宗教改革者たちから激しい攻撃を受けました。また、親仏派と親英派の貴族たちが対立し、スコットランドは内乱状態に陥りました。マリーはフランスの支援を受けながら、スコットランドの安定を維持しようと努めましたが、その道のりは困難を極めました。

娘の結婚とフランス訪問

マリーは娘メアリーをフランス王太子フランソワと結婚させることで、フランスとの同盟を強化しようとしました。1548年、幼いメアリーはフランスへ送られ、フランソワとの結婚に向けて教育を受けることになります。1559年、メアリーとフランソワは結婚。しかし、マリーはスコットランドを離れることができず、フランスへは代理として母を派遣しました。その後、マリーはフランスを訪問し、娘と再会を果たしましたが、フランスからの十分な支援を得ることはできませんでした。

スコットランド帰国と最期

スコットランドに帰国後も、情勢は悪化の一途を辿りました。プロテスタント勢力の拡大を食い止めることができず、イングランドの介入を招くことになります。1560年、イングランドとスコットランドのプロテスタント貴族の間で条約が締結され、フランス軍はスコットランドから撤退することになりました。カトリックの衰退を目の当たりにしたマリーは、失意のうちに1560年6月11日に死去しました。彼女の死後、スコットランドはプロテスタント国家へと大きく舵を切ることになります。

マリー・ド・ギーズは、スコットランド女王メアリー・ステュアートの母としてだけでなく、激動の時代を生き抜いた政治家としても評価されるべき女性です。彼女の生涯は、当時のヨーロッパにおける政治、宗教的対立の縮図であり、スコットランド史における重要な一章を飾っています。

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