ギーズ家

ギーズ家の歴史と影響

ギーズ家は、フランスの近世において重要な役割を果たした貴族の家系です。特に16世紀には、激しい宗教戦争であるユグノー戦争に関与し、その運命を大きく左右しました。この家系は、ロレーヌ公国の君主家門であるシャトノワ＝ロレーヌ家から分派したもので、初代ギーズ公クロードが1496年に誕生しました。

家系の成立と重要な人物たち

クロードはフランソワ1世王に仕え、その功績によりフランスの公爵位を授与されました。また、ギーズ家は王侯家としての特権も有し、フランス宮廷内で非常に高い地位を享受しました。彼の子女たちも重要な婚姻を通じて他国との結びつきを強化しました。長女マリーはスコットランド王ジェームズ5世の妃となり、その子供が後のスコットランド女王メアリーとして歴史に名を残します。

一方、長男のフランソワ公は、1558年にイングランドのカレーを奪還し、軍事的な英雄として名声を得ました。三男のシャルルはランス大司教と枢機卿の地位にまで昇り、宗教界でも影響力を持つこととなります。

王家との関係と国政への影響

1558年、王太子フランソワはスコットランド女王メアリーと結婚し、こうしてギーズ家は王家とのさらに緊密な関係を築きました。翌年、フランソワ2世が即位すると、ギーズ公フランソワとシャルルは王妃の叔父として国政に大きな影響を及ぼしました。この状況はカトリックとプロテスタント間の緊張を高め、ユグノーの台頭を促す要因となったのです。

1560年にはカトリック勢力がユグノー勢力に勝利し、ギーズ家はその国政支配を確立しましたが、その後、王太后カトリーヌ・ド・メディシスの宗教寛容政策に強く反対したことがユグノー戦争へとつながりました。1562年のドルーの戦いではギーズ公フランソワがユグノーを撃退しましたが、1563年に彼は暗殺されます。

後を継いだ長男のアンリは、サン・バルテルミの虐殺で重要な役割を果たし、カトリック同盟を組織しました。しかし、王位の推定相続人が死亡した後、アンリたちの間で新たな内戦が勃発しました。特にギーズ公アンリは非常に野心が強く、1588年には国王に対する反乱を引き起こし、「パリの王」となるほどの力を握りました。

暗殺とその後の転機

ギーズ公アンリは、アンリ3世によって暗殺され、カトリック同盟の指導権は弟のマイエンヌ公シャルルに移ります。カトリック同盟はその後次第に衰退し、1596年には和平が結ばれます。これにより、ギーズ家の政治的影響力は徐々に失われ、1688年には主要な家系が断絶します。

その後、ギーズ家の財産と権利を巡る争奪戦が始まり、ギーズ公爵位は他の家系に継承されることとなります。現在でもギーズ家の歴史はフランスの貴族の複雑さを物語っており、彼らの影響力が消えた後も、その名は歴史の記憶に残り続けています。

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