メイナード・ジェームス・キーナン

メイナード・ジェームス・キーナン（Maynard James Keenan、1964年4月17日 - ）は、アメリカを代表するロックシンガー、作曲家、音楽プロデューサーであり、俳優、そしてワインメーカーとしても知られています。マルチプラチナロックバンド、トゥール（Tool）とア・パーフェクト・サークル（A Perfect Circle）の中心的メンバーであり、独自のサイドプロジェクト、プシファー（Puscifer）でもその才能を発揮しています。また、初期にはアクシス・オブ・ジャスティス（Axis of Justice）でボーカルを担当していました。

オハイオ州ラヴェンナで生まれたキーナンは、本名をジェームス・ハルバート・キーナン(James Halvert Keenan)といいます。レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン（Rage Against the Machine）のファーストアルバムに収録された"Know Your Enemy"ではゲストボーカルとして参加し、同バンドのライブにも数回ゲスト出演しています。

彼のパフォーマンスは非常に個性的で、伝説的なエピソードも存在します。あるライブ中、興奮した観客がステージに乱入した際、キーナンは動じることなく、その観客を柔道の大腰で投げ飛ばし、そのままバックマウントポジションからスリーパーホールドをかけながら歌い続けたという逸話があります。驚くべきことに、その間、音程を外すことも、息を切らすこともなく、平然と歌いきったそうです。

若い頃には、思いつきで陸軍に入隊した経験も持っています。また、音楽活動を始める前は、ケンブリッジやロサンゼルスのペットショップで働いていました。ロサンゼルスのペットショップでは店内のレイアウトを担当していましたが、すぐに解雇され、その後は舞台のセットを作る仕事に就きました。

当時住んでいたアパートはまるで動物園のようだったと言います。トカゲや鳥を飼育し、コオロギを餌として与えていたそうです。ロサンゼルスでカレッジ時代に制作したデモソングを歌っているところを、バンド結成を考えていたアダムにスカウトされたことが、トゥール結成のきっかけとなりました。

トゥールのライブでは、奇抜な衣装を身にまとい、独特な動きを披露することで観客を魅了します。ボーカリストとしての技術も非常に高く、『Lateralus』に収録されている『The Grudge』では、約25秒にも及ぶシャウトを披露し、その圧倒的な歌唱力を見せつけました。

キーナンは、ワイン愛好家としても知られています。2004年にはアメリカの専門誌からコレクターとして認定され、2006年には自身のオリジナルワインを発売するなど、その情熱は音楽活動にとどまりません。また、環境問題への意識も高く、マイ箸やマイ判子を愛用していることでも知られています。

ア・パーフェクト・サークルやプシファーといった別プロジェクトでもボーカルを務めるなど、その活動は多岐にわたります。また、映画『アドレナリン:ハイ・ボルテージ』にカメオ出演するなど、俳優としての顔も持っています。

メイナード・ジェームス・キーナンは、音楽、ワイン、パフォーマンス、そのすべてにおいて独自の哲学と才能を発揮し、多くの人々を魅了し続けています。

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