メイヘム (アルバム)

レディー・ガガ 最新アルバム『メイヘム』詳細解説

ポップアイコン、レディー・ガガが2025年3月7日にリリースした8枚目のスタジオアルバム『メイヘム』。本作は、彼女自身の内なるカオスを昇華させ、幸福感に満ちた音楽体験を提供する意欲作として、発売前から大きな注目を集めていました。

制作背景

2022年の「Chromatica Ball」ツアー中に楽曲制作を開始したガガ。SNSにはレコーディングスタジオでの写真が投稿され、ファンの期待を高めました。2024年3月には、「これまでで最高の曲を書いている」と公言し、同年5月にはコンサート映画『Gaga Chromatica Ball』のエンドロールで新曲の一部を公開。婚約者のマイケル・ポランスキーから「ポップ・アルバムを作り、喜びに浸るべき」と勧められたことも、制作の大きな転機になったと語っています。

2024年7月には、夏季オリンピック開会式で未発表曲の一部をサプライズ披露し、同年12月にはブルーノ・マーズとのデュエット曲「ダイ・ウィズ・ア・スマイル」が収録されることを発表しました。

作曲と録音

アルバムの制作には、フランスのDJ兼プロデューサーであるジェサフェルスタインをはじめ、アンドリュー・ワット、サーカットらが参加。エグゼクティブ・プロデューサーとして名を連ねています。レコーディングは、ガガが過去に『ジョアン』や『アリー/ スター誕生』のサウンドトラックを制作した、カリフォルニア州マリブにあるリック・ルービンのスタジオ「シャングリラ」で行われました。

ガガは本作について、「これまで作ったどの作品とも全く異なる」と語り、ジャンルの枠を超えた挑戦や新たなクリエイティブな影響の取り入れを強調しています。各楽曲は彼女自身の内なるカオスを反映しつつも、祝祭的なトーンで表現されており、クラブでのパーティーから自宅での親密な時間まで、様々なシチュエーションでリスナーと繋がることを意識して制作されたとのこと。

『メイヘム』は「音楽への愛へのオマージュ」であり、「多様なジャンルやスタイル、異なる夢を融合させた作品」だとガガは語ります。

楽曲について

サーカットは楽曲「ディジーズ」について、「ガガの揺るぎない本質を捉えつつ、現代的なサウンドを作ること」を目指したと語り、大胆で攻撃的ながらも親しみやすい楽曲に仕上がったと述べています。アンドリュー・ワットは、録音過程を「自然発生的」と表現し、ガガが音を聴くとすぐにマイクを握り、流れるように歌い出す様子を明かしました。特に「アブラカダブラ」は、ガガが直感的にメロディを作り上げ、ピアノを弾きながら構成を固めていった楽曲だそうです。

ブルーノ・マーズとのコラボレーション曲「ダイ・ウィズ・ア・スマイル」は、アルバム制作中にマーズから突然の電話があり、その夜のうちに完成したとのこと。70年代のハーモニーやキャロル・キングとジェームス・テイラーのようなコラボレーションにインスピレーションを受け、ライブ形式で制作されました。ガガは、この楽曲が『メイヘム』のテーマである「愛、混沌、そして和解」をつなぐ「欠けていたピース」だと感じたと語っています。

アルバムが示す新たな方向性

『クロマティカ』が暗闇から生まれた作品であったのに対し、『メイヘム』は「新たな幸福感を象徴する作品」だとガガは語っています。パートナーであるマイケル・ポランスキーの存在が、彼女をポップ・ミュージックへと引き戻す重要な役割を果たしたことも明かされました。

『メイヘム』は、レディー・ガガが自身の音楽性をさらに進化させ、新たな表現の境地を開いた作品と言えるでしょう。彼女の音楽に対する愛と情熱が詰まったこのアルバムは、多くのリスナーに感動と喜びを与えることでしょう。

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