メシマコブ

メシマコブとは

メシマコブ（Phellinus linteus）は、タバコウロコタケ科に属する特異なキノコで、日本では「幻のキノコ」として知られています。主に桑の木などに寄生し、扇状に成長するこのキノコは、子実体の傘が直径30cmに達するまでに20から30年を要するといわれています。この成長の遅さや特定の環境条件が必要であることから、栽培や培養は非常に難しいと言われています。

メシマコブはその見た目がサルノコシカケに似ていることから、外観だけでは見分けがつきにくいこともあります。中国では「桑黄」とも呼ばれ、長い間漢方薬として重宝されてきましたが、遺伝子解析の結果、桑黄とメシマコブが必ずしも同じではないことが明らかになっています。

薬用効果

近年、キノコ類の持つ薬効が注目されており、インターネットなどでの情報により認知度は高まっています。特にメシマコブは、1968年に国立がんセンターの研究においてガン細胞の増殖抑制に関する研究が発表され、注目を集めました。研究によると、メシマコブの抗腫瘍効果は96.7%に達し、他のキノコ類と比較しても高い数値を記録しています。

韓国では、国家プロジェクトの一環としてメシマコブの菌糸体培養に成功し、特に抗がん作用が優れる菌株から開発された製剤「メシマ」が販売されています。この製剤は肝臓、胃、腸などのがんに対する免疫増強剤として医療品認可を受け、広く使用されています。主成分には多糖類や酸性ヘテロマンナンタンパク複合体が含まれ、他のキノコと比べて特有の成分構成を持っています。

日本では、西条中央病院の医師が1988年からメシマコブを用いた治験を行い、様々ながんに対しての効果が報告されています。また、2004年には関西医科大学の医師らによって多発性肝細胞癌における治験が行われ、2006年にはその成果が学会で発表されています。近年では膵臓がんや乳がんに対する有効性が示唆される報告も増えてきており、動物実験やin vitro研究でも成果が確認されています。

メシマコブの併用効果

メシマコブは、他の抗がん剤と併用することで、より効果的な治療が期待されています。例えば、肺がんに対してはドキソルビシン（DXR）と併用することで効果が高まるとされ、乳がん、結腸がん、前立腺がんにおいても同様の研究が行われています。こうした併用療法の研究結果は、国内外で報告されており、放射線治療との組み合わせも注目されています。

2022年には韓国新薬による二重盲検プラセボ対照ランダム化比較試験が行われ、メシマの投与によりNK細胞活性が有意に増加したとの報告があります。これにより、免疫力向上が期待でき、安全性も確認されました。

日本では依然として医薬品としての承認は得られていないものの、多くの医療機関で健康補助食品として利用され、癌の補完代替療法としてのニーズが高まっています。また、ペットの高齢化に伴い、犬や猫への応用についても研究が進められています。

まとめ

メシマコブはその貴重さと薬用効果から、多くの研究者や医師の注目を集めています。今後、さらなる研究が進むことで、がん治療における新たな希望の光となることでしょう。

もう一度検索