メディアのハルパゴス

ハルパゴスの生涯

はじめに

ハルパゴス（紀元前6世紀）は、メディア王国およびアケメネス朝ペルシア王国の著名な将軍でした。彼はメディアの王アステュアゲスに仕官していましたが、後にキュロス2世に協力し、メディアを滅ぼしたことで歴史に名を刻みました。

メディア王への復讐

メディアの王アステュアゲスは、不吉な夢を見て、彼の孫である幼いキュロスを殺すよう命じます。ハルパゴスはその命令に困惑し、彼自身の子を犠牲にされることを恐れ、キュロスを牛飼いのミトリダテスに預けることにします。ところが、ミトリダテスは同情し、彼自身の死産した子を代わりに殺してキュロスを育てることにします。

しかし、この事実はアステュアゲスの耳に入り、ハルパゴスは王に召喚されます。正直に話した彼を待っていたのは、王の激しい復讐でした。王はハルパゴスに、自身の13歳の一人息子を王宮に送るよう命じ、彼の息子を殺して料理し、ハルパゴスに食べさせます。ハルパゴスは、この事実を知りながらも驚かず、「王のなさることにはどんなことでも満足です」と応答しました。王はこの言葉を受け、しばらく後にハルパゴスが彼のもとから立ち去り、心の中に王への憎悪が芽生えていくのに気づいていなかったのです。

キュロスとの結託

その後、ハルパゴスは表向きにはアステュアゲスに忠実であり続けましたが、内心ではキュロスとの結託を深めていきました。成人したキュロスはメディアに従属するアンシャンの王として存在しており、ハルパゴスは彼を擁立するためにメディアの主要な重臣たちとも根回しを行います。準備が整った後、彼はキュロスにアステュアゲスに対して反乱を起こすことを勧めました。

紀元前552年、キュロスはメディアに対する反乱を起こします。アステュアゲスはその動きを察知し、ハルパゴスをキュロス討伐軍の総司令官に任命しましたが、ハルパゴスは逆にキュロスに味方し、彼を勝利に導くことになります。最終的に紀元前550年、キュロスはメディアを滅ぼし、アステュアゲスは捕えられます。ハルパゴスは捕虜となったアステュアゲスを訪れ、過去の復讐を果たすかのように王を侮辱しました。

ペルシアの将軍として

メディアを滅ぼした後、ハルパゴスはペルシアの将軍としてキュロスに仕官し、リュディア遠征に参加します。彼は「ラクダに騎兵を乗せる」という奇策を提案し、これが成功を収め、リュディア軍との戦闘で大きな役割を果たしました。リュディア滅亡後も、ハルパゴスはポカイア、テオス、ミレトスなどのイオニアの都市、さらにはカリア、カウノス、リュキアといった地域を征服し、ペルシアの勢力を拡大しました。

ハルパゴスの具体的な死因や年齢については不明ですが、彼の影響力の大きさは歴史において高く評価されています。

関連作品

ハルパゴスの物語は、岩明均の漫画作品『ヒストリエ』に描かれており、その中で彼がメディアに反逆する場面が特に知られています。

もう一度検索