メディアアクセスユニット

メディアアクセスユニット（MAU）とは

メディアアクセスユニット（Media Access Unit、MAU）は、マルチステーションアクセスユニット（Multistation Access Unit、MSAU）とも呼ばれ、トークンリングネットワーク（IEEE 802.5）において、複数のパーソナルコンピュータやワークステーションを接続するための集線装置です。トークンリングは、論理的にはリング型トポロジーですが、MAUを用いることで物理的にはスター型に接続され、保守が容易になります。MAUは、内部のリレー回路を通じて、接続されたステーション間でリングを形成します。

MAUの基本と進化

初期のMAUは、電源を必要としないパッシブな装置で、特別な設定も不要でした。しかし、その後、ネットワーク管理機能を持つコントロールドアクセスユニット（CAU）が登場し、ソフトウェアとの連携による高度な管理が可能になりました。トークンリングはIBMが中心となって規格化され、MAU市場でも同社が大きなシェアを占めていました。1992年頃には、IBMが約66%のシェアを握っていたとされています。

しかし、トークンパッシング方式のトークンリングネットワークは、1997年頃にはIBMの主要製品でしたが、その後、スイッチドネットワークへと移行していきました。

MAUの主な特徴

MAUには、以下のような特徴があります。

電源不要のパッシブ動作: トークンリングのMAUは、ポートごとにリレーを内蔵しており、接続されたステーションから供給されるDC電源で動作します。ステーションの電源がオフになったり、ポートから外されたりすると、リレーが閉じて自動的にリングから切り離されます。

初期設定: 初期のMAUでは、設置後に「Setup Aid」というアクセサリを用いて簡単な初期設定が必要でしたが、基本的には特別な操作は不要でした。ただし、移動や衝撃があった場合はリレーのリセットが必要でした。

ステータスLEDとAC電源: IBM 8226のようなモデルでは、ステータスLEDが搭載され、AC電源を使用することで、リレーのリセットが容易になりました。また、スプリッターとしても使用できる機能も持っていました。

リレーのリセット機能: サードパーティ製品では、リレーのリセットボタンや自動リセット機能が組み込まれ、利便性が向上しました。

拡張性と耐障害性

MAUには、拡張用のリングイン、リングアウト端子が備わっており、これらを接続することで、より大きなネットワークを構築できます。リング型ネットワークでは、一つのステーションの障害が全体に影響しますが、MAUはリレーによって障害のあるステーションを迅速に切り離し、ネットワークを維持します。これにより、ネットワークを停止させることなく障害のあるステーションの取り外しが可能になります。

帯域幅

トークンリングネットワークは、理論的には数キロメートルに及ぶ広範囲をサポートできましたが、実際には帯域幅を共有するため、より狭いエリアごとにネットワークを構成し、ブリッジ接続で運用されました。しかし、最終的には高帯域幅のスイッチドネットワークに置き換えられました。

まとめ

MAUは、トークンリングネットワークにおいて重要な役割を果たした集線装置です。電源不要のパッシブ動作、リレーによる自動的な障害切り離し機能、ネットワークの拡張性などが主な特徴でした。しかし、技術の進歩とともに、より高速なスイッチドネットワークにその役割を譲り、現在では過去の技術となっています。

関連情報

関連項目:
ローカルエリアネットワーク
トークンリング
トークン・パッシング
外部リンク:
The IBM token-ring network — A functional overview

もう一度検索