トークン・パッシング

トークンパッシングとは

トークンパッシングは、ローカルエリアネットワーク（LAN）における媒体アクセス制御（MAC）方式の一つです。この方式では、「トークン」と呼ばれる特定のビット列がネットワーク上を常に巡回しています。データを送信したいノードは、このトークンを捕獲し、データをフレームに変換してネットワークに送り出します。

トークンパッシングの仕組み

1. トークンの巡回: ネットワーク上では、トークンがリング状またはバス状に巡回しています。
2. トークンの捕獲: データを送信したいノードは、巡回してきたトークンを捕獲します。
3. データの送信: トークンを捕獲したノードは、送信したいデータをフレームに変換し、トークンに付加してネットワークに送信します。
4. フレームの巡回: データを含むフレームは、ネットワーク上を巡回し、宛先ノードに到達します。
5. トークンの解放: 宛先ノードがフレームを受信した後、または送信ノードがデータ送信を完了した後、トークンを解放し、再びネットワーク上を巡回させます。

トークンパッシングの利点

高い負荷環境下での安定性: イーサネットで使用されるCSMA/CD|CSMA_CD方式と比較して、ネットワークの負荷が高くなってもスループットが低下しにくいです。
遅延時間の予測可能性: トークンの巡回時間を制御することで、データ転送にかかる遅延時間を予測することができます。これは、リアルタイム性が求められるアプリケーションにとって重要な利点です。
公平なアクセス: 全てのノードにトークンが平等に回ってくるため、特定のノードがネットワークを占有することを防ぎます。

トークンパッシングの応用

通常、トークンパッシングはリング型トポロジーのLANで使用されますが、バス型LANに適用した「トークンバス」と呼ばれる方式も存在します。

トークンパッシング方式を採用した主なLANの種類:

トークンリング (IEEE 802.5): リング状のネットワークトポロジーで、トークンがリングを巡回します。
トークンバス (IEEE 802.4): バス型のネットワークトポロジーで、論理的なリングを形成してトークンが巡回します。
FDDI (Fiber Distributed Data Interface): 光ファイバーを使用したトークンパッシング方式で、高速なデータ転送が可能です。
アークネット (Attached Resource Computer Network): バス型やスター型のトポロジーで使用されるトークンパッシング方式。
HP-IL (Hewlett-Packard Interface Loop): ヒューレット・パッカード社が開発したインターフェースループで、トークンパッシングを使用しています。

まとめ

トークンパッシングは、ネットワークの安定性と予測可能な遅延時間を実現する媒体アクセス制御方式です。主に産業用ネットワークや特定の用途で使用され、その信頼性と効率性が評価されています。

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