メトロポリタントロント

メトロポリタン・トロント：広域自治体の歴史

メトロポリタン・トロントは、1954年から1997年までカナダのオンタリオ州南部に存在した地方行政区画です。「メトロ」や「メトロ・トロント」とも呼ばれ、トロント市の上層に位置し、その後の地域自治体の前身となりました。

歴史

成り立ち

オンタリオ州では、新しい自治体の認可は州の権限に委ねられています。メトロポリタン・トロントも州議会によって設立・承認され、1953年4月15日に上層レベルの自治体を創設することが決定されました。1954年1月1日より施行され、トロント市をはじめ、イーストヨーク、エトビコ、スカボロ、ノースヨーク、ヨークの各タウンシップ、ウエストン、ニュートロント、ミミコ、リーサイドの各町、スウォンジー、フォーレストヒル、ロングブランチの各村の13の市町村から構成されていました。

スティール通り以北のエリアは、1971年にヨーク地域となり、メトロポリタン・トロントには含まれませんでした。メトロポリタン・トロント議会は、トロント市から12名の議員（市長を含む）と、他の都市の代表（通常は市長または代官）によって構成されました。

成長

メトロポリタン・トロントは、初代議長のフレデリック・ガーディナーの指導の下、飛躍的な成長を遂げました。地下鉄の拡張整備や複数の高速道路建設などが行われ、高速道路「ガーディナーエクスプレスウェイ」は彼を称えて名付けられました。この成長の結果、1967年に州政府はメトロポリタン・トロントを再編成することを決定し、7つの小さな町と村を選別して合併の対象としました。トロント市を除く残った5つのタウンシップは、メトロポリタン・トロント行政区の市制として再施行され、ロングブランチとニュートロント、ミミコはエトビコに、ウエストンはヨークに、リーサイドはイーストヨークに、スウォンジーとフォーレストヒルはトロントにそれぞれ吸収合併されました。

合併

1990年代、グレータートロント（GTA）が広く知られるようになると、多くの人々はトロント広域の都市部を網羅するために設立されたメトロポリタン・トロントを、もはや関連性のないものとして捉えるようになりました。また、住民にとって広域のメトロポリタンよりも地域に関わる事柄への関心が高まっていました。

1995年の州議会選挙で、オンタリオ進歩保守党党首のマイク・ハリスは、オンタリオ州内の自治体層を減らす政策を提案し、メトロポリタン・トロントの解消を視野に入れた検証を選挙公約としました。しかし、ハリス政権はメトロ・トロントの6つの都市を合併し、新制トロント市を設立することで、より大きなコスト抑制ができることを見出し、このコスト抑制プランを発表しました。その結果、トロント市と他の5つの都市は解体され、より大きなメトロ政府が残ることになりました。

この発表に対し、世論の反対が起こり、メディアはこの案を「メガシティ・プラン」と呼びました。1997年3月には住民投票が行われ、6つの都市すべてにおいて3対1以上の比率で合併反対となりました。4月には反対する政党によって州議会の進行が妨害されました。しかし、ハリス政権は安定多数与党として強固な立場を保持し、すべての反対を押し切って、議会で新制トロント市の法令にあたる「City of Toronto Act」を通過させました。

合併は1998年1月1日に施行され、これにより新制トロント市が誕生し、メトロポリタン・トロントは解体されました。

市庁舎とメトロホール

1953年の発足時、メトロの本部はトロントの市街地、67 Adelaide Street Eastに置かれました。1964年にトロントの新市庁舎がオープンし、連なって建つビルの一方はメトロ・トロントの事務所、もう一方はトロント市の事務所となり、2つの議会は中央の会議室を共有していました。しかし、委員会の施設と評議会の事務所としては不適切であることがわかり、市庁舎の向かいにあたる390 Bay Streetへ一部移設されました。それでもメトロ議員は市庁舎の会議室で会合を継続し、1992年にようやく55 John Streetに建てられた新しいメトロホールにすべての施設を移転しました。

合併評議会は市庁舎で会合を開いていましたが、市庁舎が議会の拡張に合わせて改装する際、メトロホールが会合場所となりました。現在もメトロホールは新制トロント市の事務所として使用されています。

関連項目

グレータートロント（GTA）

外部リンク

トロント市アーカイブ（メトロ・トロント） （英語）
メトロポリタン・トロント法 （英語） - （"Municipality of Metropolitan Toronto Act"）
メガシティ・トロントの発足

もう一度検索