メトロポリタン線

ロンドン地下鉄メトロポリタン線：世界初の地下鉄から現代へ

メトロポリタン線は、ロンドンの地下鉄路線の中でも特に歴史と個性豊かな路線です。1863年、世界で初めて開業した地下鉄の起源を持ち、現在もロンドン北西部と中心部を繋ぐ重要な交通手段として活躍しています。

路線概要と特徴

メトロポリタン線は、ロンドン金融街シティのアルドゲイト駅からアクスブリッジ駅までを結ぶ本線と、途中駅から分岐するワトフォード、チェシャム、アマーシャムの3本の支線から構成されています。路線図ではマゼンタ色で表示されています。

この路線の大きな特徴は、その運行形態です。快速、準快速、各駅停車の3種類の列車が運行されており、ロンドン地下鉄では珍しく優等列車が設定されている点が挙げられます。多くの優等列車は、ベーカー・ストリート駅止まりで、ロンドン中心部には乗り入れません。これは、郊外電車と同様の運行形態と言えるでしょう。

また、全長56.8kmのうち、地下区間はわずか9.6kmしかなく、大部分が地上を走っています。そのため、ロンドン地下鉄の中でも最高速度が最も速く、地上区間では最高時速80kmに達する区間もあります。この高速運転と、ハートフォードシャーやバッキンガムシャーといったロンドン郊外の町村まで路線が伸びている点が、メトロポリタン線に独特の郊外電車のような雰囲気を与えています。

歴史

メトロポリタン線の歴史は、1853年に計画された環状線の建設に遡ります。1863年にパディントンとファーリンドン・ストリート間が開通、その後、1930年代までに路線は90マイルにまで延伸されました。1933年にはロンドン旅客輸送委員会に買収され、ロンドン地下鉄メトロポリタン線となりました。

その後も路線網の改編や近代化が進み、蒸気機関車から電車への置き換え、複々線化などが行われました。1988年には、ハマースミス＆シティ線とイーストロンドン線がメトロポリタン線から分離、メトロポリタン線は現在の路線形態となりました。

車両も時代とともに進化し、2012年にはA形電車から冷房装置を搭載したS形電車への置き換えが完了しました。S形電車は、エネルギー効率を高める回生ブレーキも搭載されており、環境にも配慮した車両です。

将来計画

現在もメトロポリタン線の改善・拡張計画は進められており、クロクスレー・レール・リンクの建設や、アマーシャム・チェシャム方面のダイヤ改正などが計画されています。クロクスレー・レール・リンクは、ワットフォード近郊に新駅を設置することで、より利便性の高い路線となることが期待されています。アマーシャム・チェシャム方面のダイヤ改正では、利用客の増加に対応するため、運行本数の調整などが予定されています。

まとめ

メトロポリタン線は、世界初の地下鉄という歴史的意義を持ち、現在もロンドン市民の生活を支える重要な交通機関です。その歴史、運行形態、将来計画など、多様な魅力を持つ路線として、これからもロンドンの発展に貢献していくことでしょう。その独特の雰囲気と、郊外電車的な特徴は、他のロンドン地下鉄路線にはない魅力です。

もう一度検索