メトロ2033

『メトロ2033』概要

『メトロ2033』（露: Метро 2033、英: Metro 2033）は、ロシアの作家ドミトリー・グルホフスキーの手によるSF小説であり、その内容を基にしたコンピュータゲームも展開されています。ゲーム版はウクライナのゲーム開発会社4A Gamesによって製作され、日本語版は2010年にスパイクからXbox 360版、ズーからPC版として発売されました。原作小説の日本語訳も、小学館から上下巻として刊行されています。

小説の概要

『メトロ2033』は、2002年にグルホフスキーがインターネット上で発表した「終末もの」の作品です。物語は最終戦争後のモスクワの地下鉄の生活を舞台にしています。地下生活を余儀なくされた人々は、新種のミュータントによる脅威に怯えながら生き延びており、主人公の青年アルチョムは故郷の博覧会駅を守るため、さらに深い地下都市「ポリス」への旅に出ます。

この物語は、自己を見出すことができない主人公がさまざまな思想や価値観を持つ人々と出会う中で、自身の存在意義を探求していく様子が中心となっており、崩壊した文明の地下社会やそこでの人々の葛藤を非常に詳細に描写しています。グルホフスキーは、当初は主人公が使命を果たせずに死ぬ結末を書きましたが、後に主人公が生存する形に改訂され、2005年には書籍として出版されました。書籍版は国内外で50万部以上の売り上げを記録し、20カ国以上に翻訳されるまでになりました。

あらすじ

物語は2033年のモスクワが舞台です。過去の核戦争によって地上は放射能で汚染され、人間は地下鉄での生活を余儀なくされています。アルチョムは博覧会駅に住む青年で、度重なるミュータントの襲撃によって故郷が危機に瀕していることから、ポリスに助けを求めることになります。

重要な用語

なお、作品内には多くの専門用語が登場します。最終戦争は、21世紀初頭に勃発した核戦争を指し、モスクワ地下鉄はこの地下世界で人々が暮らすための最後の拠点です。ミュータントは放射能によって変異した生物であり、主人公たちは状況を打開するための戦いを繰り広げます。また、ストーカーや自由商人といった名称も登場し、それぞれの役割や生き様が物語の中で描かれています。

登場人物

アルチョムは本作の主人公であり、無知で臆病ながらも外出する勇気を持った青年です。彼を取り巻くキャラクターには、義父であるサーシャや、友人のハンター、商人のブルボンなどが存在し、それぞれが物語に深みを与えています。ダークワンや他のミュータントたちとの対決も重要なテーマとして描かれ、困難な状況下での人間の強さや信念も表現されています。

ゲーム版の特徴

2010年にリリースされたゲーム版『メトロ2033』は、原作のストーリーを基にした一人称視点のアクションシューティングゲームです。独自のHUDがなく、リアルな没入感を目指して設計されています。プレイヤーはアルチョムとして、危険な地下世界を旅しながら、さまざまな敵と対峙し、仲間を探し出すという冒険に挑みます。グラフィックスの美しさや、緊張感あふれる環境音、ストーリー性の高さが称賛されています。また、難易度が高く、プレイヤーは慎重に行動しなければならない場面が多く、戦略的なプレイが求められます。

ひとこと

『メトロ2033』は一つの新たな文学景観を展開し、現実の厳しさや人間の強さを鋭く描く作品です。原作とゲーム版の両方を通じて、そのダークで緻密な世界観が多くの人々に受け入れられています。次世代のSF作品として、その影響や評価は今後も語られ続けることでしょう。

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