終末もの

終末もの（しゅうまつもの）

終末もの、またはポスト・アポカリプスは、文明の崩壊や人類の絶滅をテーマにしたフィクションの一ジャンルです。このジャンルは、壮大な戦争、自然災害、ウイルスの流行、あるいは超自然的な現象が引き起こす災害まで、さまざまな要因によって人類が滅びる過程を描写します。物語は、文明が崩壊した後の荒廃した世界の様子や、生存者たちの闘争、心理描写を焦点にすることが一般的です。

終末ものの多様性

終末ものは、一般的にSFのサブジャンルとして位置付けられていますが、ファンタジーやホラーなどを含む「スペキュレーティブ・フィクション」として広く捉えられることもあります。物語は二つの主要な形態に分かれます。一つは、文明崩壊の瞬間や直後の状況を描いたもの。もう一つは、文明が長い時を経て忘れ去られた未来の世界を描くものです。これにより、作者は生存者たちの葛藤や、新たな社会の形成について探求することができます。

特に、終末ものは第二次世界大戦後に顕著な人気を集めるようになりました。この時期、核兵器が普及し、人類の破滅の可能性が現実のものとなったことで、終末テーマが強く意識されるようになりました。しかし、終末を描くフィクションは19世紀初頭から存在しており、例えばメアリー・シェリーの『最後の人間』は、疫病により最後の人類となった主人公を通じてそのテーマを探求しています。

終末のテーマの歴史

終末というテーマの根源は、古代の神話や宗教に遡ることができます。様々な文化圏で、世界や人間社会の終わりを描いた物語が存在します。旧約聖書には、ノアの方舟の物語があり、腐敗した文明が大洪水によって滅びる様子が描かれています。また、ローマ帝国の時代には、黙示文学が盛んになり、特に『ヨハネの黙示録』は西洋の終末テーマに多大な影響を与えました。中世においても、終末論を含む文学作品は数多く書かれ、さまざまな教えや思想が形成されました。

近代に入ると、終末のフィクションはさらに多様化します。特に、核の脅威が増した冷戦時代には、核戦争による終末を描いた作品が多く登場しました。アンドレ・ノートンの『Star Man's Son』のように、放射能に汚染された世界での冒険が描かれることもあり、その後のサイエンス・フィクションのスタイルに影響を与える作品が多く見られます。

日本における終末もの

日本でも終末ものは1970年代から人気を博しました。高度経済成長による社会不安や公害の問題が影響し、これに基づくSFフィctionや漫画が爆発的に流行しました。特に『北斗の拳』や『風の谷のナウシカ』など、核戦争後の荒廃した世界観が多くの作品にインスパイアを与えました。また、1990年代後半には『新世紀エヴァンゲリオン』などが登場し、従来の終末テーマとは異なる視点から自己認識の問題を掘り下げました。

結論

終末ものは、人々の恐れや希望、そして文明の運命についての思索を促す重要なジャンルです。その影響は文学だけでなく、映画やゲームなど、多くのメディアに広がっています。終末後の世界描写や、そこに生きる人々のストーリーは、現代社会を映す鏡のような役割を果たしています。

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