メノーラー

メノーラー（מְנֹרָה mənôrāh, menuroh, menorah）は、ヘブライ語で「燭台」を意味する言葉です。特に、7本の枝を持つ燭台を指し、ユダヤ教において重要な象徴となっています（厳密には中央の1本は枝ではないため6枝と数えることもあります）。

一方、ハヌカーの祭りで用いられる燭台は、8本の枝を持つものが一般的で、これは「ハヌッキーヤー」と呼ばれ、メノーラーとは区別されます。ハヌッキーヤーは、左右に4本ずつ枝が伸び、中央に1本の火皿がある、合計9つの火皿を持つ構造をしています。

聖書における起源

メノーラーの起源は、旧約聖書の出エジプト記に記されています。出エジプト記25章31-36節には、神がモーセにメノーラーの製作を命じる場面が描かれており、その詳細な設計と材質（純金製）が指示されています。この聖書の記述が、メノーラーの神聖さの根拠となっています。

歴史

メノーラーは、古代からユダヤ教の象徴として広く用いられてきました。シナゴーグ（ユダヤ教の会堂）の床のモザイク装飾や、柱頭、石棺、その他の宗教的な器具に、メノーラーの模様が描かれる例が多く見られます。特に、エリコのシナゴーグのモザイクは有名です。

ローマにあるティトゥスの凱旋門には、西暦70年のエルサレム破壊の際に、ローマ兵がエルサレム神殿からメノーラーをはじめとする戦利品を運び出す様子が描かれた浮き彫りがあります。この浮き彫りに描かれたメノーラーは、エルサレムの受難の象徴として、ユダヤ人の歴史と苦難を象徴するものとみなされるようになりました。このデザインは、後にイスラエルの国章にも採用され、現代においてもユダヤ民族のアイデンティティを象徴する重要なモチーフとなっています。

メノーラーは、単なる燭台としてだけでなく、ユダヤ教の信仰、歴史、そして民族の希望を象徴する存在として、今日に至るまで大切にされています。

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