メリタ

メリタ (Melitta)

メリタは、ドイツに本社を置く、コーヒー関連機器の総合メーカーです。1908年、メリタ・ベンツがペーパードリップシステムを発明したことから歴史が始まりました。当初はペーパーフィルターの製造からスタートし、その後コーヒー豆やコーヒーメーカーなど、幅広い製品を取り扱うようになりました。

日本においては、メリタジャパン株式会社が支社として業務を展開しています。コーヒー関連製品で有名なカリタとは、社名やロゴが似ていますが、資本関係などはありません。

沿革

メリタ創業以前のコーヒー抽出は、コーヒー粉をお湯に浸し、茶漉しで濾す方法が一般的でした。しかし、この方法ではコーヒーの粉がカップに入りやすく、舌触りが悪く、苦味も強くなるという課題がありました。

1908年、ドレスデンに住む主婦だったメリタ・ベンツは、息子のノート用紙を使い、フィルターを茶漉しにセットするアイデアを考案しました。さらに、金属製の缶の底に釘とハンマーで穴を開け、そこにペーパーフィルターを設置することで、コーヒーの粉がカップに混入するのを防ぐことに成功しました。

同年6月、メリタはこの画期的なペーパードリップシステムの特許を王立特許庁に申請し、特許番号347895号を取得しました。特許取得後、メリタはM・ベンツ社を設立し、自ら社長に就任。資本金73ペニヒ、従業員は夫と2人の息子、そして自宅をペーパーフィルターの製造場所とする、小規模な家内制手工業から事業をスタートさせました。

ペーパードリップのアイデアは瞬く間にドイツ国内で広まり、1910年には国際衛生博覧会でメダルを受賞するほどでした。注文が殺到し、スイスやチェコなど海外への輸出も開始するなど、事業は急速に拡大しました。

1912年には、ドリップペーパーの本格的な生産のため、ドレスデン市内に800平方メートルの工場を建設。この頃には、10万個以上のペーパーフィルターを生産するまでに成長しました。

1929年、事業の拡大と工場用地の確保のため、本社をドレスデンからヴェストファーレンのミンデンに移転。現在もこの地に本社を置いています。メリタ・ベンツの死後、息子のホルストが会社を引き継ぎ、ドリップシステムの改良を重ね、現在では一般的な円錐形のフィルターを完成させました。

現在、メリタはヨーロッパ、アメリカ、カナダ、ブラジル、南アメリカ、日本など世界中に支社を展開し、3,400人の従業員を抱えています。2008年には、12億2500万ユーロ（約1470億円）の売上高を記録しました。メリタブランドの製品は世界中で広く愛用されており、コーヒー用ペーパーフィルターは代名詞となっています。その他、コーヒーメーカー、コーヒー豆、ティーバッグ、食品保存用バッグなども手掛けています。

主な販売品目

ドリッパー
ペーパーフィルター
コーヒーメーカー（家庭用・業務用）

会社情報（日本支社）

メリタジャパン株式会社 (MELITTA JAPAN LIMITED)
所在地: 東京都江東区亀戸2-26-10 立花亀戸ビル6階
設立: 1974年

参考文献

熊谷徹『あっぱれ技術大国ドイツ』新潮文庫 ISBN 978-4-10-132233-9

関連項目

ユタ・ティーポット - メリタ社のティーポットを元にした3Dモデル

外部リンク

* メリタジャパン公式ウェブサイト

もう一度検索