メリヤス

メリヤス（莫大小・目利安）

メリヤスとは、編み物（ニット）の古い呼び名です。特に、メリヤス編み（平編み・天竺編み）で作られたニット生地、またはそれらの生地を使用した製品を指します。伸縮性に優れている点が特徴で、靴下、下着、手袋、帽子など、日常的に使用する衣類の多くに利用されています。

メリヤスの編み方

メリヤス編みは、一本または数本の糸を輪の形にした輪奈（わな、loop）の中に、次の輪奈を順次入れて布状に編んでいきます。編み目の形状によって、表メリヤス編みと裏メリヤス編みの2種類があります。また、編み針への糸の供給方向によって、緯メリヤス（横メリヤス）と経メリヤス（縦メリヤス）の2種類に分類されます。

メリヤスの歴史

日本においては、編み物の伝統が比較的弱かったため、17世紀後半の延宝から元禄年間（1673年 - 1704年）に、スペインやポルトガルなどから靴下などの形で編地がもたらされました。その際、ポルトガル語で「靴下」を意味する「メイアシュ」（meias）や、スペイン語の「メディアス」（medias）が転訛し、「メリヤス」という言葉が編み物全般を指すようになったとされています。

「莫大小」という漢字表記は、伸縮性があり「大小がない」ことに由来するという説があります。メリヤスは、主に武士が殿中に出仕する際の足袋を作る技法として用いられ、一部の武士から庶民にも広まっていきました。

現代におけるメリヤス

1950年代までは、機械編みによる薄地の編物全般、肌着や靴下など伸縮性を求められる衣類全般、または伸縮する生地を広く「メリヤス」と呼んでいました。しかし、その後、編地の衣料が一般化し、英語などから派生した衣服関連の新たな外来語が普及するにつれて、「メリヤス」という言葉は主に肌着に使われるようになり、編地全般は「ニット」、アウターのカジュアルウェアは「ジャージー」と呼ばれることが多くなりました。また、経編のニットについては「トリコット」という名称も用いられます。

現代では、メリヤスという言葉は、かつてほど広範な意味合いを持たなくなりましたが、その伸縮性と快適さから、肌着を中心に今も私たちの生活に密接に関わっています。

脚注

編み物の種類
メリヤスの歴史

関連項目

編み物
靴下
軍足
軍手

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