メルセデス・ベンツ・SLK

メルセデス・ベンツSLK：オープンエアとスポーツ性を両立したロードスターの歴史

メルセデス・ベンツSLKは、メルセデス・ベンツが展開していた、クーペとカブリオレの両方のスタイルを楽しめる2シーターのスポーツカーです。Cクラスをベースに開発され、軽量でスポーティな走行性能と、快適なオープンエアドライビング体験を提供することで人気を博しました。2015年に「SLC」へと名称変更されるまで、多くのモデルバリエーションが展開されました。本稿では、SLKの歴史と、それぞれの世代の特徴を詳しく解説します。

開発と初代モデル（R170：1996年-2004年）

SLKは、1994年に試作モデルが発表され、1996年に量産が開始されました。当時としては革新的だった電動格納式ハードトップ「バリオルーフ」を搭載し、わずか28秒でオープンからクローズ状態へと変化します。このバリオルーフは、後継モデルにも受け継がれ、SLKシリーズのアイデンティティとなりました。トランク容量はオープン時145L、クローズ時348Lと、オープンカーとしては十分な容量を確保しています。

日本市場では1997年に「SLK230 コンプレッサー」と「SLK230 AMG」が発売されました。発売当初は予約殺到により、納車が翌年になるほどの高い人気を誇りました。2000年にはマイナーチェンジを行い、「SLK320」と「SLK32 AMG」を追加。AMGモデルは、エクステリアの変更にとどまっていましたが、スポーティなデザインが人気を集めました。また、ベース車にAMGパーツを装着した「SLK320 スポーツライン」も設定され、選択肢の幅が広がりました。

初代SLKは、W202 Cクラスをベースに開発されており、サイズは3,995 x 1,715 x 1,276mm、ホイールベースは2,400mmでした。エンジンは、ヨーロッパでは2.0L自然吸気、2.3L自然吸気、そしてコンプレッサー仕様などが展開されました。日本市場では、直列4気筒とV6エンジンモデルがラインナップされていました。価格帯は504万円から809万円と、当時の高級スポーツカーとしては比較的リーズナブルな価格設定でした。

2代目モデル（R171：2004年-2011年）

2004年、SLKはフルモデルチェンジを行い2代目に進化しました。エクステリアは、フロントエンドのデザインがSLRマクラーレンを彷彿とさせるデザインへと変更され、より洗練された印象となりました。サイズは4,082 x 1,788 x 1,298mmへと拡大されました。

日本市場では、初代で人気だった直列4気筒モデルは導入されず、3.5L V6エンジン搭載の「SLK350」と「SLK55 AMG」が中心でした。価格は672万円から960万円。2005年には3.0L V6エンジン搭載の「SLK280」が追加され、その後、直列4気筒エンジン搭載の「SLK200 コンプレッサー」もラインナップに加わりました。AMGモデルには、サーキット走行にも対応できる「パフォーマンスパッケージ」や、世界限定120台の「ブラックシリーズ」も存在しました。各モデルに、スポーツパッケージやAMGスポーツパッケージなどのオプションも用意され、カスタマイズの幅も広がりました。

3代目モデル（R172：2011年-2016年）

2011年、SLKは3代目へと進化しました。エクステリアデザインは、SLS AMGをイメージさせるものとなり、よりアグレッシブなスタイルとなりました。この世代では、いくつかの機能が先行発表されるという異例の展開となりました。特に注目されたのは、「マジックスカイコントロール」搭載のパノラミックバリオルーフです。この機能は、ルーフの透過率を調整し、天候や気分に合わせて最適な明るさを選択することが可能です。

パワートレインは、2.0L直列4気筒、3.5L V6に加え、メルセデス・ベンツとしては初となるディーゼルエンジン搭載モデル「SLK250 CDI BlueEFFICIENCY」が追加されました。このディーゼルモデルは、環境性能に優れたパワートレインでありながら、高い走行性能も兼ね備えていました。また、最高峰モデルとして「SLK55 AMG」も存在しました。

日本市場では、「SLK 200 ブルーエフィシェンシー スポーツ」、「SLK 200 ブルーエフィシェンシー」、「SLK 350 ブルーエフィシェンシー」が導入されました。その後、「SLK 55 AMG」や、様々な特別仕様車が発売され、幅広い顧客層にアピールしました。また、190Eシリーズ以来、21年ぶりに6速MTモデルも投入されました。

2015年、3代目のフェイスリフトを機に、SLKは「SLC」へと名称変更されました。長い歴史と進化を遂げてきたSLKは、その魅力を多くのユーザーに届けてきました。その名を残しつつ、新たな時代へとバトンタッチしたのです。

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