メルセデス・ベンツ・W203

メルセデス・ベンツ 2代目Cクラス (W203/S203/C203)：2000年代の高級コンパクトカーの進化

メルセデス・ベンツのCクラスは、同社のミドルクラスセダンとして高い人気を誇るモデルです。その2代目となるW203型は、2000年に登場し、セダン、ステーションワゴン、そしてスポーティなクーペボディという幅広いラインナップで、多くの顧客を魅了しました。日本市場では同年9月に発売され、価格は400万円から900万円と、幅広い層をターゲットとしていました。

ボディバリエーションと日本市場への投入

W203型Cクラスは、セダン（W203）、ステーションワゴン（S203）、そしてクーペ（C203）という3つのボディタイプが用意されました。これは先代モデルと比較して、すべてのグレードにステーションワゴンが設定された点が大きな特徴です。さらに、BMW 3シリーズコンパクトに対抗するモデルとして、3ドアハッチバックのスポーツクーペもラインナップに加わりました。ただし、欧州市場ではC350やC180といったモデルも存在しましたが、日本市場ではブランド戦略や他モデルとの差別化を図るため、正規輸入されませんでした。

エンジンとグレード体系

W203型で注目すべき点は、それまでのメルセデス・ベンツのモデル名に用いられていた「数字の上2桁が排気量を示す」という法則が廃止されたことです。例えば、C180は1.8Lエンジンではなく2.0Lエンジンを搭載し、C240も2.4Lではなく2.6Lエンジンを搭載していました。

グレード体系も豊富で、C240、C320、C200コンプレッサー スポーツクーペなどには、「スポーツライン」と呼ばれる特別仕様車が設定されていました。これはAMGがデザインしたアルミホイールやエアロパーツ、スポーツサスペンションなどを装備した、スポーティな仕様です。

内外装と装備

ヘッドライトは、初期型、中期型、後期型でそれぞれ異なるデザインが採用されました。ハンドル位置は、C230アバンギャルドやC55 AMGセダンなど一部モデルで左右ハンドルが選択可能でしたが、4MATIC（4WD）モデルは構造上の都合から左ハンドルのみの設定でした。

内装においては、それまでのメルセデス・ベンツが特徴としていた「誰が乗っても戸惑わない実用性の高さ」が、やや低下したと評価されています。構成部品の一部簡略化やコストダウンによる内装の質感の低下も指摘されています。ただし、マイナーチェンジ後の後期型では品質改善が図られ、これらの点が改善されました。また、ダイムラー・クライスラーの合併後、AT車にはマニュアルモードが採用され、そのシフトパターンはクライスラーの「オートスティック」と同様の形状となりました。

歴史とモデル変遷

日本市場への導入に先駆けて、2000年5月にはオートトレーディングルフトジャパンが独自に輸入販売を行っていました。同年9月には、C180、C200コンプレッサー、C240、C320、C32 AMG、C200コンプレッサー スポーツクーペといったモデルが正規販売を開始しました。その後、エンジン変更や4WDモデルの追加、スポーツクーペのエボリューションモデルの登場など、様々なモデルバリエーションが追加され、進化を遂げていきました。

2005年には、旧型V6エンジンモデルが廃止され、新世代V6エンジンを搭載するC230アバンギャルド、C280アバンギャルド、C280 4MATICアバンギャルドが追加されました。これらのモデルは7速AT（7G-TRONIC）を採用し、スポーティな内装が特徴でした。また、C32 AMGの後継モデルとして、5.4L V8エンジンを搭載するC55 AMGも登場しました。

スポーツクーペは北米市場での販売不振により2005年に販売中止となりましたが、日本市場では2007年まで販売が継続されました。その後、W203型をベースに改良が加えられ、CLCクラスとして登場しましたが、日本市場への導入はありませんでした。

W203型Cクラスは、メルセデス・ベンツのミドルクラスセダンとして、その時代の技術とデザインを反映した重要なモデルでした。その歴史と変遷は、自動車史においても重要な位置を占めていると言えるでしょう。

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