メルセデス・ベンツ・W212

メルセデス・ベンツ4代目Eクラス：W212/S212/C207/A207の全貌

2009年にデビューしたメルセデス・ベンツ4代目Eクラス(W212/S212/C207/A207)は、セダン、ステーションワゴン、クーペ、カブリオレの4つのボディタイプを展開。それぞれに個性と魅力が凝縮されています。本稿では、その歴史、デザイン、機構、安全性能、そして販売状況まで、多角的に深掘りしていきます。

デザインと販売状況

W212は、先代W211からの進化として、角型4灯ヘッドライトと特徴的なプレスラインを採用しました。しかし、このデザインは市場から必ずしも好意的に受け止められず、販売面では苦戦を強いられました。そのため、2012年にはヘッドライトデザインやプレスラインが変更されましたが、販売シェアトップの座獲得には至りませんでした。セダンとステーションワゴンは、V8エンジンの搭載を考慮し、ドアの厚みや後部座席、トランクルーム空間を拡大。そのため、デザイン上の差別化が難しくなった側面もあります。クーペとカブリオレは、Cクラス(W204)のプラットフォームをベースに開発され、スポーティな走行性能を実現しています。

機構と安全性能

W212には、Sクラス(W221)で採用されたCOMANDシステムをはじめとした先進装備が搭載されました。安全面でも、ニーバックを含む9つのエアバッグやNECk PROアクティブヘッドレスト、アクティブボンネット、アダプティブハイビームアシスト、アテンションアシストなど、充実の装備が標準で用意されました。さらに、ナイトビューアシストプラスやレーンキーピングアシストといった先進運転支援システムもメーカーオプションとして提供されました。日本仕様車には、地上デジタル放送チューナーやHDDナビゲーションが搭載され、快適性も追求されています。

環境性能への取り組み：ハイブリッドモデル

このモデルから、Eクラス初となるハイブリッドカーが登場しました。ガソリンエンジンとモーターを組み合わせたE400 Hybridは、日本、アメリカ、中国市場で展開されました。一方、ディーゼルエンジンとモーターを組み合わせたE300 BlueTEC Hybridは、ヨーロッパを中心に世界市場で販売されましたが、日本への導入はありませんでした。

歴史とモデル展開

2009年のデビュー以降、Eクラスは何度かのマイナーチェンジを受けました。デザイン変更に加え、エンジンやトランスミッションの改良、新機能の追加などが行われ、環境性能と安全性能の向上が図られました。また、グレード体系も徐々に変化し、ユーザーのニーズに合わせたモデル展開が展開されました。具体的な変更内容を以下に示します。

2009年: セダン、クーペの販売開始、順次グレード追加
2010年: ステーションワゴン販売開始、一部仕様変更
2011年: 特別仕様車発売、トランスミッション変更、ECOスタートストップ機能追加
2012年: 一部改良、価格改定
2013年: マイナーチェンジ、新型エンジン、レーダーセーフティパッケージの標準装備拡大
2014年: 一部改良、オプション価格見直し、特別仕様車発売
2015年: 一部改良、新型エンジン搭載、クリーンディーゼル追加

まとめ

メルセデス・ベンツ4代目Eクラスは、デザインの変更や様々な改良を経て、時代の変化に合わせた進化を遂げてきました。販売面では苦戦もありましたが、安全性能や環境性能の向上、先進装備の追加など、ユーザーニーズに応える努力が継続されました。その歴史は、自動車業界における技術革新の歩みを示す重要なものとなっています。

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