メルセデス・ベンツ・W213

メルセデス・ベンツ5代目Eクラス：日本市場における歴史とモデル概要

2016年、北米国際オートショーでデビューしたメルセデス・ベンツ5代目Eクラス(W213/S213/C238/A238)。日本市場では同年7月よりセダン、11月よりステーションワゴン、2017年5月よりクーペの販売が開始されました。セダン、ステーションワゴン、クーペ、カブリオレと、様々なボディタイプがラインナップされ、それぞれに魅力的な特徴を備えています。

日本市場向けEクラスの特長

日本仕様のEクラスは、ドイツ本国仕様とは異なるシート設計が特徴的です。フロントシートは4cm長く、リアシートは2cm短い設計となっており、これは右ハンドル仕様のインド市場向けモデルとも異なります。

ステアリングは、セダンはAMGモデルを除き当初は右ハンドルのみでしたが、後にE400 4MATIC エクスクルーシブに左ハンドルも追加されました。ステーションワゴンは、E400 4MATIC ステーションワゴン エクスクルーシブ以外のモデルが右ハンドルのみです。また、4MATICモデルは、この世代から右ハンドルが選べるようになりました。

サスペンションは、E400 4MATIC エクスクルーシブにはメルセデス初となるマルチチャンバーエアサスペンション「AIR BODY CONTROL」が、Mercedes-AMG E43 4MATICにはスポーツ走行に特化した「AMG RIDE CONTROL スポーツサスペンション」が採用されました。その他モデルには「AGILITY CONTROLサスペンション」が搭載され、ステーションワゴンは全車に電子制御式セルフレベリング機構付きリアエアサスペンションが備わっています。

先進の運転支援システム「インテリジェントドライブ」や、スポーティ、クラシック、プログレッシブの3種類の表示モードが選べる12.3インチコックピットディスプレイ、先進的なマルチビームLEDヘッドライト、64色のアンビエントライトなど、先進装備が満載です。キーレスゴーシステムのデザインも刷新され、よりモダンで上質なデザインとなりました。

安全面では、「ディストロニック&ステアリングパイロット」や高性能な「アクティブブレーキアシスト」、「アクティブレーンチェンジングアシスト」、「緊急回避補助システム」など、数々の先進安全機能を「レーダーセーフティーパッケージ」として全車に標準装備しています。

燃費性能も向上し、モデルによって「平成32年度燃費基準+30%」から「平成27年度燃費基準」まで達成しています。全モデルに9速ATが採用されているのも大きな特徴です。2020年からは、20年ぶりとなる直列6気筒エンジンもラインナップに追加されました。

各ボディタイプのデザインと特徴

ステーションワゴンは、リアサスペンションの専用設計、40:20:40分割可倒式後席、最大1820Lの大容量ラゲッジスペース、EASY-PACK自動開閉テールゲート、フットトランクオープナーなどが特徴です。

クーペは、ダイヤモンドグリルとパワードームを備えたボンネット、低く構えたAピラー、高いベルトライン、サッシュレスドアなどが、メルセデスのクーペ伝統のデザインを継承しています。夜間の施錠・解錠時にLEDリアコンビネーションランプが順次点灯する「カミングホームファンクション」がフロントだけでなくリアにも備わっているのもクーペの特徴です。カブリオレは、ソフトトップを閉じた状態のデザインがクーペに準じています。

年表とモデルバリエーション

2016年: セダン発売開始、E200、E200 4MATIC、E220d、E250、E400 4MATICなどを投入。
2016年10月: Mercedes-AMG E43 4MATIC追加。
2016年11月: ステーションワゴン発売開始、E400 4MATIC エクスクルーシブに左ハンドルを追加。
2017年5月: クーペ発売開始。Mercedes-AMG E63 S 4MATIC+追加。
2017年8月: セダン・ステーションワゴン一部改良。E350 e アバンギャルド スポーツを追加。
2017年8月: Mercedes-AMG E63 S 4MATIC+ ステーションワゴン、Mercedes-AMG E63 4MATIC、Mercedes-AMG E63 S 4MATIC+ Edition 1を発表。
2017年9月: E220d 4MATIC All-Terrain発売。
2018年1月: カブリオレ発売開始。
2018年2月: クーペ一部改良。
2018年8月: 一部改良。E450 4MATIC追加。
2018年9月: Mercedes-AMG E53 4MATIC+発売。Mercedes-AMG E43 4MATIC廃止。
2019年3月: セダン・ステーションワゴン一部改良。「E300 アバンギャルド スポーツ」追加。
2019年10月: クーペ・カブリオレ一部改良。「E300 カブリオレ スポーツ」追加。「E350 de アバンギャルド スポーツ」追加。
2020年3月: 特別仕様車「ローレウスエディション」追加。「E300 アバンギャルド スポーツ」一部改良。
2020年9月: マイナーチェンジ。直列6気筒エンジン搭載グレード追加。
2020年10月: クーペ・カブリオレマイナーチェンジ。
2021年9月: 一部仕様変更。価格改定。
2022年12月: リコール発表。
2022年12月: 「Mercedes-AMG E 63 S 4MATIC+ Final Edition」発表。

中国とインドにおけるロングバージョン

中国市場では、ホイールベースを140mm延長したロングバージョンが、AMG E43以外のグレードで販売されています。インド市場でも、全長を80mm延長したロングバージョンが販売されています。いずれも後席の快適性を重視した仕様となっています。

まとめ

5代目Eクラスは、先進の技術と快適性、そして様々なボディタイプを備えた、メルセデスのフラッグシップセダンとして、日本市場においても高い人気を博しました。この解説が、Eクラスへの理解を深める一助となれば幸いです。

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