メルセデス・F1 W07 Hybrid

メルセデスF1 W07 Hybrid：2016年シーズンの支配者と衝撃の引退発表

2016年のF1世界選手権を席巻したメルセデスF1 W07 Hybridは、前年のW06 Hybridを進化させたマシンとして、2月、シルバーストン・サーキットでシェイクダウンを実施。その姿を世に公開しました。レギュレーションの大幅変更がなかったことから、W06 Hybridの改良型という位置づけでしたが、そのパフォーマンスは圧倒的でした。

2016年シーズンの戦績：勝利と悲劇、そして引退

シーズン序盤はニコ・ロズベルグが4連勝を飾るなど、メルセデスは好調なスタートを切りました。しかし、ルイス・ハミルトンは予選でのトラブルやマシントラブルに見舞われ、思うように勝利を掴むことができませんでした。第5戦スペインGPでは、チームメイト同士の接触による痛恨のリタイア。その後も、レッドブルのダニエル・リカルドにポールポジションを奪われる場面もありましたが、ハミルトンはモナコGPで今シーズン初勝利を挙げ、勢いを取り戻します。

カナダGPでもハミルトンが勝利し連勝を飾ると、その後はハミルトンとロズベルグが互いに勝利を奪い合う接戦が繰り広げられました。オーストリアGPからドイツGPにかけてハミルトンが4連勝し、ドライバーズランキングでロズベルグを逆転。しかし、ロズベルグも後半戦で巻き返し、ベルギーGPからシンガポールGPまで3連勝し再びトップに立ちます。

マレーシアGPでは、ロズベルグがベッテルとの接触、ハミルトンがエンジンブローというアクシデントが発生。日本GPでロズベルグが勝利し、メルセデスは4戦を残してコンストラクターズチャンピオンを3年連続で獲得しました。シーズン終盤はハミルトンが4連勝で追い上げを見せますが、ロズベルグが全レースで2位以内に入る安定感をみせ、最終的にロズベルグが初戴冠を果たしました。

W07 Hybridは、ワン・ツーフィニッシュを8回記録するなど圧倒的な強さを誇示。年間最多勝利記録となる19勝、20回のポールポジション獲得という驚異的な成績を残しました。しかし、シーズン終了後、ロズベルグは突如引退を表明。3シーズンにわたるチームメイト同士の戦いに幕を閉じました。

W07 Hybridの技術仕様：進化したパフォーマンス

W07 Hybridは、カーボンファイバー製のモノコック構造を採用。ブレンボ製のブレーキキャリパー、カーボンファイバー製のブレーキディスクとパッド、ダブルウィッシュボーン式サスペンションなど、最高レベルの技術が惜しみなく投入されています。

搭載されたメルセデスPU106C Hybridエンジンは、1.6リッターV6ターボ、24バルブというF1レギュレーションに準拠した設計。最高回転数は15,000rpmに達し、ペトロナス製の潤滑油を使用していました。

全長5000mm、全幅1800mm、全高950mm、乾燥重量702kgという車体サイズは、レギュレーションに則ったものでした。

記録更新：メルセデスの圧倒的な支配力

2016年シーズン、メルセデスは数々の記録を塗り替えました。

年間最多ポイント：765ポイント
年間最多勝利：19勝
年間最多ポールポジション：20回 (95.2%)
年間最多表彰台：33回

これらの記録は、W07 Hybridの圧倒的な性能と、メルセデスチームの卓越した戦略、そしてドライバーの高い実力の融合によって達成された偉業と言えるでしょう。ロズベルグの引退という衝撃的な出来事も含め、2016年シーズンはF1の歴史に刻まれた、記憶に残る年となりました。

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