メルト (supercellの曲)

メルト

『メルト』は、ryoが作詞・作曲し、初音ミクをボーカルに用いてニコニコ動画に投稿された楽曲です。後にsupercellの楽曲としても知られるようになりました。

曲の概要

この曲は、16歳の少女としての初音ミクが抱く恋愛感情をテーマにしています。当時、初音ミクを単なるキャラクターではなく、人格を持った存在として捉え、彼女が経験しそうな恋愛を描いた点が画期的でした。

投稿までの道のり

作曲者のryoは、幼少期からピアノを習い、高校時代には作曲を学び始めました。2007年に初音ミクを手に入れた彼は、ニコニコ動画で人気を博していた初音ミクの動画に触発され、自身も楽曲制作を開始。そして、自作の2作目として『メルト』を2007年12月7日に発表しました。

ニコニコ動画での反響

2007年12月7日にニコニコ動画に投稿された『メルト』は、その演奏、歌詞、旋律の全てが注目を集め、瞬く間に大ヒットしました。動画は再生回数を伸ばし続け、2017年12月には1170万回以上再生されています。また、『メルト』をきっかけに、歌ってみた動画などの派生作品が多数投稿され、関連動画を含めた累計再生回数は1000万回を超えました。

この曲の成功により、ryoには楽曲制作の依頼が殺到し、複数のレーベルから声がかかりました。その結果、彼はソニーのレーベルに参加することを決意しました。2009年には、『メルト』は『初音ミク Project DIVA』にも収録され、2017年にはryo自身がアレンジした『メルト 10th ANNIVERSARY MIX』が発表されました。

評価と影響

『メルト』は、ニコニコ動画で1600万回以上再生され、100万件を超えるコメントが寄せられています。2019年にはニコニコ動画の3部門で1位を獲得、2021年のボーカロイド曲再生回数ランキングでは3位にランクインするなど、今もなお高い人気を誇っています。また、ボーカロイドに関する調査では、『メルト』が実験に用いられることもあります。

メルトショック

2007年12月13日には、『メルト』の歌ってみた動画が多数投稿され、ランキング上位を独占する「メルトショック」と呼ばれる現象が起こりました。これにより、初音ミクを題材にしたキャラクターソングが主流だったボカロシーンに多様性が生まれ、シンガーとしての初音ミクの役割を大きく広げるきっかけとなりました。

著名人からの評価

米津玄師は、『メルト』を聴いたことがきっかけでボカロの世界に足を踏み入れたと語っています。彼はryoとの対談で、「ryoさんがいたからボカロシーンが始まったのは間違いない」と述べ、メロディーや歌詞、ドラムのフレーズなど、楽曲の完成度の高さを絶賛しています。

Kz(livetune)は、『メルト』を「完璧な曲」と評し、この曲が登場したことでボカロシーンが一変したと語っています。彼は『メルト』がボカロ文化の垣根を取り払い、多くの人々がボカロに興味を持つきっかけになったと評価しています。

ヒャダインは、テレビ番組で『メルト』を平成の音楽史における重要な曲として推薦し、ボカロPが増加したことや、歌い手文化が生まれたことなど、その影響の大きさを解説しました。

エピソード

『メルト』の背景に使われたイラストは、当初壁紙サイトからの無断転載でしたが、作者である119氏がこれを許諾したことで、異例のコラボレーションが実現しました。その後、119氏はsupercellに絵師として参加することになります。


『メルト』は、ボーカロイド文化の発展に大きく貢献しただけでなく、音楽の新たな可能性を示した楽曲として、これからも多くの人々に愛され続けるでしょう。

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