セパージュワイン

セパージュワインとは

セパージュワインとは、ワインのラベルにブドウの品種名が明記されているワインのことです。「セパージュ」はフランス語でブドウの品種を意味します。

フランス

フランスの高級ワインであるAOCワインは、アルザスとブルゴーニュを除き、通常セパージュは表示されません。これは、多くのワインが複数の品種のブレンドによって作られていることと、生産者ごとに伝統の味が保たれており、ワイン愛好家がそれを熟知しているためです。

しかし、フランスの多くの生産者はセパージュを公表しており、「世界の名酒事典」などで公開されています。また、インターネットのワインショップでも商品ごとにセパージュを記載するケースが増えています。

アルザス

アルザスワインは、通常単一品種で作られることが多く、それぞれの品種が個性的な味や香りを持っています。そのため、品種名の明記が必要とされ、フリュイ・ド・メールと呼ばれる普及品のブレンドワインを除き、ほとんどがセパージュ付きです。

ブルゴーニュ

ブルゴーニュワインでは、「ブルゴーニュ」よりも狭い範囲の地区名や村名、畑名を名乗るワインは、ボジョレーとマコン、サン・ブリなどの例外を除き、赤はピノ・ノワール、白はシャルドネで作られています。ただし、普及品のAOCブルゴーニュでは、それ以外の品種の混醸が認められています。村名クラス以下のピノ・ノワールまたはシャルドネ100％のワインには、それぞれのセパージュが記載されています。なお、ブルゴーニュには、アリゴテ種だけで作られたブルゴーニュ・アリゴテというAOCが存在します。

ヴァン・ド・ペイ

ヴァン・ド・ペイはいわゆる「地酒」であり、1970年代までは水代わりに飲まれる安価なワインでした。しかし、人々の生活水準が向上し、安酒の需要が減少したこと、またワイン法の厳しい規制を嫌い、南フランスなどの新天地で自由にワイン造りを行いたい生産者が増えたことから、このクラスのワインを手がける人が増えました。そして、どんな味のワインかを示すために、セパージュを明記したものが多くなっています。1980年代後半からは、ボルドーやブルゴーニュのAOCワインよりも優れたものが現れています。

ドイツ

ドイツワインでは、最高級品に多いリースリングや、新しい品種であるショイレーベ、ケルナーなどを使ったワインに、品種名が明記されていることが多いです。

イタリア

イタリアの高級ワインであるDOCGやDOCワインでは、ワインに使用できる品種が決められています。日本でもよく知られているキャンティはサンジョヴェーゼ種を中心に作られており、イタリアワインの王様と呼ばれるバローロはネッビオーロ種で作られています。

イタリアワインで高級品とされるDOCGおよびDOCワインでセパージュが表記されているものは、名称が品種名＋地区名となっているものと、名称の中にいくつかの品種が認められ、それを区別するために付けられるものがあります。前者では、バルベーラ・ダスティ、モスカート・ディ・パンテッレリーア、モンテプルチャーノ・ダブルッツォなどがあり、後者では、ランゲの中にネッビオーロやカベルネ・ソーヴィニョンなど8品種が認められています。

フランスのヴァン・ド・ペイに相当するインディカツィオーネ・ジェオグラフィカ・ティピカ（IGT）ワインでは、セパージュ付きのワインが多くあります。しかし、プッリャ州のプリミティーヴォなど、一部に優れたものも出てきていますが、香味に乏しいワインも多いのが現状です。

スペイン

スペインでは、ラ・リオハ州などの高級ワイン産地では赤がテンプラニーリョ、白はビウラ、その他の普及品やビーノ・デ・メーサ（テーブルワイン）などではガルナッチャやカリニェナ、マカベオなどの品種が使われていました。しかし近年は、新興産地でもレゼルバクラスの高級品が作られるようになり、カベルネ・ソーヴィニョンやシャルドネに代表されるフランスの品種によるセパージュワインが増えてきています。一方で、伝統的なスペイン品種を名乗るものもあります。スペインのセパージュワインで今注目されているのはモナストレルで、南国らしい力強さと繊細さを兼ね備えています。この品種は、南フランスのムールヴェードルという品種ですが、フランスではブレンド用とされ、ほとんど無名だった品種です。

オーストリア

オーストリアは、ワインのタイプがドイツと似ていることもあり、地域名や畑名が入っていることが多く、商標ワインも多いです。しかし、単一品種で作られるワインが比較的多く、白では固有品種であるグリューナー・フェルトリーナーやピノ・グリ、ピノ・ブランなど、赤では固有品種のブラウフランキッシュやレンベルガー、ツヴァイゲルトレーベ、それにピノ・ノワールなどが作られています。

オーストリアは、「音楽の都ウィーン」がある国だけに、クラシック音楽の作曲家名が付いたワインがいくつかあります。モーツァルトは赤がブラウフランキッシュで白がミュラー・トゥルガウ、シューベルトは白だけでピノ・ブラン、ベートーヴェンは赤がピノ・ノワール、白がピノ・グリです。

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