メル・ブルックスのサイレント・ムービー

映画『メル・ブルックスのサイレント・ムービー』

『メル・ブルックスのサイレント・ムービー』は、1976年に公開されたアメリカのコメディ映画であり、メル・ブルックスが監督を務めています。この映画は、サイレント映画の時代の名作をモチーフにしたパロディ作品であり、特にチャーリー・チャップリンやバスター・キートンなどの偉大な喜劇映画人への敬意を表しています。映画にはバート・レイノルズ、ジェームズ・カーン、ライザ・ミネリ、アン・バンクロフト、マルセル・マルソー、ポール・ニューマンといった豪華なキャストが本人役で登場し、エンターテインメント性を一層引き立てています。

ストーリー概要

物語は、経営危機に直面している老舗映画会社ビッグ・ピクチャーズを舞台にしています。この会社は、悪徳企業エンガルフ&デボア社による買収の危機にさらされています。そんな中、アルコール依存症を克服した往年の名監督メル・ファンが新作映画の企画を持参します。その内容は、大スターを集めたサイレント映画を制作するという大胆なものでした。メル・ファンは、友人であるエッグスとベルと共に名だたるスターに出演交渉を行うものの、エンガルフ&デボア社の妨害が待ち受けています。

主要キャスト

映画のキャストには、メル・ブルックス自身が演じるメル・ファンをはじめ、マーティ・フェルドマンが友人のエッグス、ドム・デルイーズがベルを演じています。また、ダンサー役のバーナデット・ピータースや、撮影所長役のシド・シーザーも登場し、ストーリーに多様性を与えています。

本人役で登場する俳優たちも見逃せません。バート・レイノルズ、ジェームズ・カーン、ライザ・ミネリ、アン・バンクロフト、マルセル・マルソー、ポール・ニューマンがそれぞれの個性を生かしつつ、粋な演技を見せています。特にアン・バンクロフトは、映画の監督であり脚本家でもあるメル・ブルックスの妻でもあります。

製作の背景

本作は映画業界に対する風刺が随所に散りばめられています。エンガルフ&デボア社は、実在の企業をもじった名称であり、映画のロゴ自体も有名なMGMをモデルにしたパロディです。「芸術のための芸術」という本物のロゴのスローガンが「お金のための芸術」に変更され、ビッグ・ピクチャーズが単に大作を作ることを自己宣伝する様子をコミカルに表現しています。

この映画は第34回ゴールデングローブ賞でミュージカル・コメディ部門において4部門にノミネートされるなど、評価も高かったことが伺えます。

映画の魅力

全編がサイレント映画仕立てである一方で、わずかに音声つきのセリフが登場する仕掛けも見どころです。また、映画の中で起こるさまざまなギャグやコメディシーンは視覚的な楽しさを追求しており、観客を笑顔にさせる要素が詰まっています。

『メル・ブルックスのサイレント・ムービー』は、サイレント映画の魅力を再発見させると共に、映画業界への鋭い批評を融合させたユーモアあふれる作品です。その独自のスタイルと、出演者たちの卓越した演技が、この映画を今なお多くの人々に愛される理由となっています。

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