メレンゲ (曖昧さ回避)

メレンゲ（Meringue）

「メレンゲ」という言葉は、その響きからは想像できないほど、全く異なる分野で多様な意味合いを持って用いられています。主にお菓子の一種を指すことが多いですが、それ以外にも音楽ジャンル、バンド名、楽曲名、さらには特定の組織やメディアの愛称・略称としても親しまれています。ここでは、それぞれの「メレンゲ」について詳しく見ていきましょう。

菓子としてのメレンゲ

最も広く知られているのは、鶏の卵白に砂糖を加えてしっかりと泡立てた、軽やかな口当たりの生地、またはそれを焼いたり乾燥させたりして作ったお菓子です。泡立てる工程で大量の空気を含ませることで、独特のふわふわとした、あるいはサクサクとした食感が生まれます。

製法にはいくつか種類があり、卵白に砂糖を加えてそのまま泡立てる「フレンチメレンゲ」、熱いシロップを泡立てた卵白に少しずつ加えながら作る「イタリアンメレンゲ」、湯せんで温めながら泡立てる「スイスメレンゲ」などがあります。それぞれ仕上がりの安定性や用途が異なります。

この生地は、そのまま焼いてシンプルな焼き菓子として楽しまれるほか、ケーキやタルトのデコレーション、レモンパイなどのフィリングの上に絞り出して表面を軽く焼いたもの、さらにはマカロンやダックワーズ、パブロバといった菓子の重要な構成要素としても広く利用されています。砂糖の種類や加える量、泡立て方、焼き時間や温度によって、様々な食感や形状のお菓子に変化します。

音楽ジャンルとしてのメレンゲ

カリブ海に位置するドミニカ共和国を代表する、国民的な大衆音楽およびダンスのスタイルです。その起源は19世紀半ば頃とされ、アフリカ音楽のリズムとヨーロッパの音楽形式が融合して発展したと考えられています。陽気で情熱的なリズムが特徴で、多くの楽器が使われます。

伝統的なメレンゲの編成には、独特の金属製擦り楽器であるギューラ（Güira）、両面太鼓のタンボーラ（Tambora）といったパーカッションが不可欠であり、これらが複雑で推進力のあるリズムパターンを刻みます。さらにアコーディオンやサックス、トランペット、ピアノ、ベース、ボンゴなどが加わり、賑やかで踊りやすい楽曲が生まれます。ドミニカ共和国では、お祭りや祝い事には欠かせない音楽であり、ラテンアメリカ各国やアメリカ合衆国のラテン系コミュニティでも広く愛されています。

その他の「メレンゲ」

上記以外にも、「メレンゲ」という名前は様々な分野で使われています。

バンド名: 日本で活動する2人組のギターロックバンドの名前です。独特の世界観を持つ楽曲で知られています。
楽曲名: 日本の人気バンド、マカロニえんぴつが発表した配信シングル曲のタイトルにも採用されています。
* 愛称・略称: サッカー界では、白いユニフォームを着用することから、スペインの名門クラブであるレアル・マドリードや、ペルーのウニベルシタリオ・デポルテスといったクラブが「メレンゲ」という愛称で呼ばれることがあります。また、かつて日本テレビ系列で長寿番組として放送されていたトークバラエティ番組『メレンゲの気持ち』も、親しみを込めて「メレンゲ」と略されることがありました。

このように、「メレンゲ」という一つの言葉が、食文化、音楽、エンターテインメント、スポーツといった多岐にわたる領域で用いられており、それぞれ全く異なる対象を指しています。その多様な使われ方は、言葉の持つ面白さを示す好例と言えるでしょう。

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