メンズウェア (バンド)

メンズウェア：ブリットポップの彗星と、その消滅

1994年、ロンドンで結成されたメンズウェアは、ブリットポップ全盛期の渦中に現れたロックバンドです。端正なルックスと高い音楽性で、デビュー前からメディアの注目を集め、特に日本ではイギリス以上に人気を博しました。しかし、その輝かしい人気は長くは続かず、わずか数年で解散という道を辿ります。本稿では、メンズウェアの華麗なる軌跡と、その急激な衰退、そしてメンバーのその後を詳細に探ります。

メンバー

ジョニー・ディーン (ボーカル)：バンドのフロントマン。アスペルガー症候群であることを公表し、チャリティー活動にも積極的に参加しています。
サイモン・ホワイト (ギター、コーラス)：解散後は音楽業界マネージャーとして活躍。ブロック・パーティーやフェニックスなどを手がけています。
クリス・ジェントリー (ギター)：インディーバンドでの活動を経て、サイモンと共にマネージャー業に転身。
スチュアート・ブラック (ベース)：ジョニーと共にMessiahというバンドを結成。
マット・エヴェレット (ドラムス)：バンド脱退後は音楽ラジオDJとして活躍。
ダレン・トッドラム (ドラムス)：マット脱退後に加入。
ポール・フレッチャー (キーボード、コーラス)：マット脱退後に加入。
クリス・ローズ (ギター)：一時的に加入。

経歴：華々しいデビューから突然の終焉へ

メンズウェアは、1995年の初ライブに23ものレコード会社が集まるという、異例の注目を集めてデビューしました。デビューシングル発表前に音楽誌の表紙を飾り、トップ・オブ・ザ・ポップスに出演するなど、メディアの注目度は非常に高まりました。限定5000枚でリリースされたデビューシングル「マネイジ・サムハウ」は瞬く間に完売し、その後も「デイドリーマー」「スターダスト」といったヒット曲を連発。1stアルバム『ニューサンス』は、ブラーやパルプ、エラスティカらと並ぶニューウェイブサウンドとして高い評価を受けました。


特に日本では、メンバーのルックスも手伝って女性を中心に絶大な人気を獲得。多くの音楽雑誌を飾り、新人賞を総なめにするなど、ブリットポップシーンを象徴する存在となりました。日本のビールCMソングも担当するなど、その人気はイギリスを凌ぐほどでした。


しかし、人気絶頂期にあったメンズウェアは、次第に「ハイプ」「見かけ倒し」といった批判を受けるようになり、急速に人気を失っていきます。1996年にはドラマーのマットが脱退（解雇説も）。その後、新メンバー加入を経てリリースしたシングル「ウィ・ラヴ・ユー」発表後、レコード会社との契約を解除されてしまいます。


1998年には2ndアルバム『アイ・ティエンポ』を発表しますが、これは前作とは異なるカントリーロック路線の作品であり、本国ではリリースされず、日本のみで発売されました。しかし、商業的な成功には至らず、メンズウェアは解散を迎えます。

解散後と再結成への試み

解散後、メンバーはそれぞれ異なる道を歩み始めます。ジョニーは着メロ会社の勤務を経て、ソロ活動も展開。サイモンとクリスは音楽マネージャーとして成功を収めます。マットはラジオDJに転身し、BBCで活躍しました。


2005年には、再結成ライブの話が持ち上がりますが、メンバー間の不和により実現には至りませんでした。しかし2013年、ジョニー・ディーンは「Johnny Dean and The Nuisance Band」名義で活動を再開。オリジナルメンバーはジョニーのみでしたが、Menswear名義でシングルリリースやライブを行うなど、活動再開の兆しを見せています。2020年には、デビューアルバム『ニューサンス』の25周年を記念した企画も予定されています。

まとめ：ブリットポップの光と影

メンズウェアは、ブリットポップという時代の寵児として華々しくデビューしながら、短期間でその幕を閉じました。彼らの急激な人気の上昇と下降は、ブリットポップというムーブメントの光と影を象徴する出来事と言えます。彼らの音楽と、その後の軌跡は、音楽史における一つの興味深いエピソードとして、語り継がれていくことでしょう。

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