ブラー

ブラー：ブリットポップから現代へ、進化を続けるロックバンド

1990年代半ば、ブリットポップ旋風を巻き起こしたイギリスのロックバンド、ブラー。キンクスやビートルズを彷彿とさせる初期のサウンドから、オルタナティブロック、そしてアフリカ音楽の影響も取り入れた独自の音楽性を確立し、現在も活動を続けています。本稿では、ブラーの軌跡を、バンド結成から最新作まで、詳細にたどります。

メンバー

デーモン・アルバーン (Damon Albarn): ボーカル、キーボード、ギター。バンドの中心人物であり、作詞作曲の中核を担います。
グレアム・コクソン (Graham Coxon): ギター、ボーカル、コーラス、サックス、ドラムス。ローファイでノイジーなギターが特徴です。2003年に脱退後、2009年に復帰。
アレックス・ジェームス (Alex James): ベース、ウッドベース。ポップなベースラインで楽曲に彩りを添えます。
デイヴ・ロウントゥリー (Dave Rowntree): ドラムス、パーカッション、サブボーカル。ドライなドラムが楽曲の土台を支えます。

音楽性

ブラーの楽曲は、デーモンのメロディーを基盤に、グレアムのギター、アレックスのベース、デイヴのドラムが複雑に絡み合うことで独特のサウンドを生み出しています。グレアムがコーラスに参加したり、全員で合唱する場面も多いのが特徴です。初期はシューゲイザーの影響を受けたサウンドでしたが、ブリットポップ時代にはイギリスらしさを前面に押し出したポップな音楽性を確立しました。その後はオルタナティブロックに傾倒し、近年の作品ではアフリカやアラブ音楽などの要素も取り入れています。作詞は主にデーモンが担当し、社会風刺や架空のキャラクターが登場する歌詞も特徴です。

経歴

1988年、ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジ在学中のデーモンを中心に結成されたバンド「サーカス」は、後に「シーモア」と改名。その後、現在のメンバー4人が揃い、1990年に「ブラー」と命名されました。

1991年、デビューアルバム『レジャー』を発表し、イギリス音楽シーンに衝撃を与えました。しかし、マネージャーの資金横領問題やグランジ全盛期のアメリカでの苦い経験を経て、デーモンはイギリスらしさを追求するようになります。

1993年発表の2ndアルバム『モダン・ライフ・イズ・ラビッシュ』は商業的には成功しませんでしたが、このアルバム以降、イギリスで愛国的な音楽ムーブメントが台頭し始めた事を受け、ブラーはこのアルバムと続く『パークライフ』によって徐々に人気を獲得していきます。

1994年の『パークライフ』は全英1位を獲得し、ブリットポップを代表するバンドとして確固たる地位を築きました。続く1995年の『ザ・グレイト・エスケープ』も全英1位を獲得し、勢いは増すばかりでしたが、オアシスとのライバル関係やマスコミ報道によるバッシング、音楽性に対するメンバー間の意見の相違などにより活動は停滞し、一時的な活動休止に陥ります。

1997年のアルバム『ブラー』では、それまでの路線を転換し、アメリカのオルタナティブロックに接近したサウンドに挑戦。このアルバムは新しいファンを獲得し、アーティスティックな面でも高い評価を受けました。続く『13』ではプログレッシブ・ロックの影響も見られる複雑なサウンドで新たな境地を開拓しました。

2003年、グレアムが脱退。残った3人で制作された『シンク・タンク』はアフリカ音楽やアラブ音楽の影響を受けたサウンドと政治的な歌詞が特徴で、全英1位を獲得しました。

2009年、グレアムが復帰し、バンドは再始動。ハイドパークでの復活ライブはチケットが即完売するほどの反響を呼びました。その後も、ロンドンオリンピックの閉会式への出演やワールドツアーなどを経て、2015年には12年ぶりのアルバム『ザ・マジック・ウィップ』、2023年には8年ぶりのアルバム『ザ・バラード・オブ・ダーレン』を発表しています。

代表曲

ブラーは数多くのヒット曲をリリースしていますが、特に有名な曲としては、「シーズ・ソー・ハイ」、「ゼアズ・ノー・アザー・ウェイ」、「ポップシーン」、「フォー・トゥモロー」、「ガールズ＆ボーイズ」、「パークライフ」、「カントリー・ハウス」、「ソング2」、「テンダー」、「コーヒー＆TV」などがあります。これらの曲は、ブラーの音楽性や時代背景を反映した、多彩な魅力を持つ楽曲です。

まとめ

ブラーは、ブリットポップムーブメントの象徴的なバンドとしてだけでなく、常に進化し続ける音楽性と高い表現力で、ロックシーンに大きな影響を与え続けています。彼らの音楽は、時代を超えて多くの人々を魅了し続けているのです。

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