メール便

メール便とは

メール便は、宅配便の配送システムを利用して、書類や商品カタログなどの軽量な荷物を運ぶ輸送サービスです。これは「郵便法における信書」に当たらないものを対象としています。日本郵便の「ゆうメール」が競合サービスにあたります。

メール便の特徴

配達方法: 郵便受けへの投函が基本で、受取人のサインは不要です。手渡しではないため、在宅の必要がありません。
追跡サービス: ゆうメールを除き、多くのメール便サービスでは配送状況の追跡が可能です。
配送時間: 宅配便と同程度の時間を要しますが、日時指定はできません。
補償: 紛失や破損に対する補償は、基本的に提供されません。
料金: 宅配便に比べて、全国一律で安価な料金設定がされています。

メール便の歴史

1997年3月にヤマト運輸が「クロネコメール便」を開始したのが、メール便サービスの始まりです。その後、佐川急便や日本通運など、他の運送業者も追随しました。しかし、2004年に日本郵政公社が「冊子小包」（現在のゆうメール）の大口割引率を上げたため、競争環境が変化しました。

佐川急便は、集荷は自社で行い、その後の配達を日本郵便に委託する「佐川ゆうメール」を開始しました。日本通運も同様のサービスを展開しました。

メール便の取扱冊数

メール便の取扱冊数は、郵便法の「通」ではなく「冊」で数えられます。ゆうメールは、以前は郵便物として扱われていたため、総務省の調査対象外でした。

主要なサービス

メール便のサービス内容は、各社によって異なります。利用する際には、事前に条件を確認する必要があります。

ゆうメール

日本郵便が提供するサービスで、メール便の競合にあたります。

クロネコメール便（現在は廃止）

ヤマト運輸が提供していたサービスです。サイズや重量に制限があり、郵便受けに入るものに限られていました。以前は、A4サイズだけでなく、B4サイズも取り扱っていました。料金は、重量ではなく外形寸法で決まっていました。通常、発送地から配達地までの距離が600km以内であれば3日目、600kmを超える場合は4日目に配達されます。速達オプションを利用すると、それぞれ翌日、翌々日に配達されます。追跡サービスも提供されていましたが、配達完了の表示は、必ずしも正常な配達を保証するものではありませんでした。個人顧客も利用可能で、集荷依頼や営業所での差し出しもできました。しかし、信書を送る顧客が後を絶たなかったため、2015年3月31日をもって廃止されました。

クロネコDM便

クロネコメール便の廃止後、ヤマト運輸が法人向けに開始したサービスです。カタログやパンフレットなど、信書ではないことが確実なものの発送に利用できます。一部地域では、配達業務を日本郵便に委託しています。

飛脚メール便

佐川急便が提供するサービスで、3辺合計70cm以内、最長辺40cm以内、厚さ2cm以内、重量1kg以内の荷物を対象としています。利用は法人に限定され、料金は重量制です。一部地域を除き、配達には3日から4日程度かかります。日本郵便が配達する「飛脚ゆうメール」とは異なり、追跡サービスは提供されていません。2020年7月1日からは、届け先が企業のみに限定されています。

メール便の今後

2023年6月19日、ヤマトホールディングスは日本郵政と提携し、2024年1月31日をもってDM便を廃止し、同年2月以降は日本郵便のゆうメール（クロネコゆうメール）を提供することを発表しました。これにより、ヤマト運輸は1997年から開始したメール便サービスから事実上撤退することになりました。

注意点

メール便は、宅配便と比べて安価で便利な反面、補償がない場合がほとんどです。また、配達完了の表示が、必ずしも正常な配達を保証するものではないことに注意が必要です。信書を送ることは法律で禁止されています。

関連項目

宅配便
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