モアブ婦人会

モアブ婦人会について

モアブ婦人会は、内村鑑三の二女・内村ルツ子の死去を受けて、1913年に設立された団体です。この会の目的は、ルツ子の記憶を尊重し、内村家に関連する女性たちが集まり、信仰の深化を図ることです。設立当初のメンバーは34名であり、主に内村聖書研究会の支持者である夫人や姉妹たちで構成されていました。

歴史的背景

内村鑑三は明治時代から大正時代にかけての著名な宗教家であり、その教えや思想は多くの人々に影響を与えました。1912年、彼の二女ルツ子が不幸にも早逝しました。この出来事は家族にとって大きな悲しみであり、同時に多くの支援を必要とする状況をもたらしました。そこで、鑑三の主導により、内村家に関連する女性たちが一堂に会することとなり、モアブ婦人会が発足しました。

最初の会合は、ルツ子の母・内村静子が会長を務める形で行われました。内村鑑三も時折参加し、会員との交流を深めたり、教えを分かち合ったりしました。会の開催は毎月第3水曜日に予定され、各会員が持ち回りで会場を提供し、聖書の研究や感話、祈りを行うことが主な活動内容でした。また、お茶や軽食も用意され、和やかな雰囲気の中で行われました。

活動内容

モアブ婦人会では聖書の研究が中心に行われていますが、それだけにとどまらず、参加者同士の交流も重視されています。例えば、聖書の講義を行った後、各自の信仰や生活に関する体験をシェアする感話の時間が設けられています。この時間では、会員が自らの経験を語ることで、信仰生活の励ましと成長が図られます。

また、会の中では、共に祈る時間も大切にされています。会員の中には、病気や家庭の問題を抱える人も多く、互いに支え合い、励まし合う姿勢が強調されているのです。こうした互助的な雰囲気は、会員間の絆を深めるうえで重要な要素となっています。

主な会員

モアブ婦人会の初期メンバーには、内村静子を始め、畔上むつ、藤井喬子、宝田あい子、黒崎寿美子、南原百合子、斎藤仁志、塚本善子など、内村家に縁のある女性たちが名を連ねています。各メンバーは自身の家庭や社会での役割を担いながらも、信仰に基づく交流を通じて互いに支え合っています。

このように、モアブ婦人会は単なる宗教団体にとどまらず、信仰を基盤としたコミュニティとしての重要な役割を果たしています。これからも、その活動が続いていくことを期待されています。

参考文献

• - 内村美代子『晩年の父内村鑑三』教文館、1983年
• - 関根正雄『内村鑑三』清水書院、1983年

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