モア・ザン・ワーズ

エクストリーム「モア・ザン・ワーズ」：言葉を超えた音楽の力

エクストリームの「モア・ザン・ワーズ」（More Than Words）は、1990年発表のアルバム『ポルノグラフィティ』に収録され、1991年にシングルカットされた楽曲です。ヘヴィメタルバンドであるエクストリームの音楽性とは異質な、アコースティックギターとボーカルのみで構成されたバラードであり、世界中で大ヒットを記録しました。

誕生秘話

作曲を担当したヌーノ・ベッテンコートは、メロディとハーモニーパートを1時間足らずで完成させたと語っています。当時流行していたパワーバラードとは一線を画すアコースティックなサウンドは、レコード会社やマネージメントから「ヒットするはずがない」と反対されました。しかし、ヌーノは「リリースされなければバンドを辞める」と主張し、最終的にシングルリリースが決定しました。

バンドと親交のあったセバスチャン・バックは、この曲を聴いた際に「とんでもない曲だ！ナンバーワンになる！」と絶賛し、マネージャーを申し出たというエピソードも残っています。

ミュージック・ビデオ

白黒で撮影されたミュージック・ビデオは、ジョナサン・デイトン＆ヴァレリー・ファリスが監督しました。メンバーのうち、ゲイリー・シェローンとヌーノ・ベッテンコートのみが出演しており、エクストリームがデュオであると誤解されることもあったようです。

世界的な大ヒットと評価

「モア・ザン・ワーズ」は、アメリカでゴールドディスクに認定され、Billboard Hot 100で1位を獲得しました。オランダでもシングルチャートで1位、イギリスでは2位を記録するなど、世界中で大ヒットとなりました。

しかし、エクストリーム本来の音楽性と異なるバラードの大ヒットは、バンドに対する批判的な意見も生み出しました。ゲイリー・シェローンは、「恩恵である一方、バンドに対する誤解を招いたという意味では呪いでもあった」と語っています。

カバーバージョン

「モア・ザン・ワーズ」は、数多くのアーティストによってカバーされています。

フランキー・ジェイ：スペイン語バージョンと英語バージョンを発表し、アメリカでヒットを記録しました。
ウエストライフ：アルバム『ウエストライフ』に収録。
デヴィッド・キャシディ：アルバム『A Touch of Blue』に収録。
ジュリアン・ハフ＆ディエゴ・ボネータ：映画『ロック・オブ・エイジズ』の劇中で、ウォレントの「ヘヴン」とのメドレーとして歌唱。

「モア・ザン・ワーズ」は、言葉を超えた音楽の力を証明した楽曲として、これからも多くの人々に愛され続けるでしょう。

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