モクタル・ウルド・ダッダ

モクタル・ウルド・ダッダ（1924年 - 2003年）は、モーリタニアの政治家であり、同国がフランスから独立した1960年に内閣首長、1961年に初代大統領に就任しました。彼は1978年のクーデターで失脚するまで、三期にわたり大統領を務めました。

生い立ちと初期のキャリア

裕福な家庭に生まれたダッダは、パリで法学を学び、モーリタニア人として初めて学士号を取得しました。1950年代後半に帰国後、中道左派のモーリタニア進歩連合に加入し、後にモーリタニア再編党(PRM)を結成して党首となりました。独立前の選挙でPRMは第一党となり、ダッダは内閣首班に指名されました。

初代大統領として

ダッダは、ムーア人、黒人、スペイン系の三つの民族集団からなるモーリタニアにおいて、民族間のバランスを維持し、政局の安定に努めました。1961年には初代大統領に就任し、総選挙での勝利を通じてその地位を確固たるものとしました。

一党独裁体制の確立

ダッダは第二党との合同を進め、1961年9月にはモーリタニア人民党(PPM)を結成。これにより事実上の一党政治が始まり、1964年にはPPMによる一党独裁制が法的に確立されました。

アフリカ連合議長と失政

1971年にはアフリカ連合の議長に選出されましたが、この頃から国内政治において失策が目立つようになります。スペインが西サハラを放棄すると、西サハラ南部の領有権を主張してモロッコと共に行動しましたが、モーリタニア軍はポリサリオ戦線のゲリラ攻撃を抑えられず、首都への逆襲を許すという失態を演じました。経済危機も重なり、1978年7月10日に軍事クーデターが発生し、ダッダは失脚しました。

モクタル・ウルド・ダッダの政治は、独立後のモーリタニアにおける民族間のバランス、一党独裁体制の確立、そして西サハラ問題への関与といった、複雑な要素が絡み合った時代を象徴しています。

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