ポリサリオ戦線

ポリサリオ戦線：西サハラの独立を求める組織

サギア・エル・ハムラおよびリオ・デ・オロ解放人民戦線（ポリサリオ戦線）は、西サハラにおける独立国家建設を目指す武装政治組織です。モロッコによる同地域の実効支配に対抗し、アルジェリアからの支援を受けて活動しています。構成メンバーは約1万人と推定され、総書記はブラヒム・ガリ氏が務めています。

歴史的背景

1975年にスペインが西サハラの領有権を放棄すると、モーリタニアとモロッコが分割統治を開始しました。これに先立ち1973年、独立を志向する西サハラ住民によってポリサリオ戦線が結成されました。アルジェリアとリビアの支援を受け、1976年2月27日にサハラ・アラブ民主共和国の樹立を宣言しました。この亡命政府はアルジェリアの首都アルジェに拠点を置き、アブデルアジズ氏を大統領としていました。

サハラ・アラブ民主共和国はアフリカ連合（AU）の加盟国として承認されていますが、国際連合（UN）には加盟していません。モロッコはサハラ・アラブ民主共和国のAU加盟に抗議し、AUを脱退しました。現在、76か国がサハラ・アラブ民主共和国を承認しており、そのほとんどがアフリカまたはラテンアメリカの国家です。一部の国は国家承認はしていないものの、ポリサリオ戦線を西サハラ住民の代表として認めています。

モロッコとの対立

モロッコは西サハラの領有権を主張しており、長らくこれを正式に認める国は存在しませんでした。しかし、2020年12月10日、アメリカ合衆国大統領ドナルド・トランプは、モロッコとイスラエルの国交正常化合意と引き換えに、西サハラに対するモロッコの主権を承認すると発表しました。ただし、国連やAUなどはこの承認に同意していません。

1991年、国連の仲介によりポリサリオ戦線とモロッコは停戦合意に至りました。モロッコへの帰属か独立かを問う住民投票の実施が決定され、国連西サハラ住民投票監視団（MINURSO）が設立されました。しかし、投票権を持つ「西サハラ住民」の定義を巡る問題から有権者の認定が難航し、住民投票は幾度となく延期されています。

現状

2020年時点では、ポリサリオ戦線は主に内陸部を実効支配しており、モロッコは大西洋に面した地域を掌握しています。2020年11月、モロッコ政府はモーリタニアとの間のトラック輸送が妨害されているとして軍を投入し、国境付近でポリサリオ戦線と交戦状態に入りました。ポリサリオ戦線は停戦の崩壊を警告しましたが、モロッコ軍の行動は止まらず、停戦は事実上瓦解しました（2020年西サハラでの衝突）。

モロッコは、ポリサリオ戦線に対しイランが軍事支援を行っていると非難しており（イランは否定）、2018年にはイランとの国交を断絶しています。

ポリサリオ戦線は、西サハラの将来を巡る紛争において、重要な役割を果たし続けています。

関連項目

サハラ・アラブ民主共和国
西サハラ問題
独立主張のある地域一覧（アフリカ）
砂の壁
* ティンドゥフ

もう一度検索