モグラ叩き

モグラ叩き

モグラ叩きは、穴から顔を出すモグラなどの人形をハンマーで叩き、得点を競うアーケードゲームの一種です。単純ながらも中毒性のあるゲーム性で、長年にわたり幅広い世代に親しまれています。

歴史

1975年、カトウ製作所が開発し、トーゴ（東洋娯楽機）から発売された『モグラ退治』が最初のモグラ叩きゲームです。人工芝が敷かれた台に開いた8つの穴からモグラがランダムに顔を出し、それをハンマーで叩いて得点を競います。制限時間内に20点以上獲得するとゲーム機から褒められ、19点以下だと笑われるという演出も話題となりました。

トーゴはその後も、『UFO MOGURA』や対戦型の『対抗もぐら』、河童をモチーフにした『カッパ退治』など、様々なモグラ叩きゲームを開発しました。海外にも輸出され、1980年には北京の中山公園に「打地老鼠」という名前で設置され人気を博しました。

競合と進化

『モグラ退治』のヒット後、アミューズメント市場には数多くの類似品が登場しました。その中でも、1981年にナムコ（後のバンダイナムコアミューズメント）が発売した『おかし大作戦』は、ケーキをモチーフにした可愛らしいデザインと、電磁浮遊方式による故障率の低さで人気を集めました。得点表示に7セグメントLEDを初めて採用したゲームとしても知られています。

1989年には、ナムコから『ワニワニパニック』が登場し、これもまた大ヒットしました。水平方向に開いた穴からワニが顔を出すという斬新なアイデアが人気を博し、ロングセラー商品となりました。

『ワニワニパニック』以降、従来のモグラ叩き機は減少し、各社から様々な趣向を凝らした機種が登場しました。セガ・インタラクティブの『タタコット』は、モニター上に映るターゲットを叩くという、ビデオゲームと融合した仕様が特徴です。コナミアミューズメントの『パンチマニア 北斗の拳』は、縦型のモグラ叩きで、ランプの指示に従ってパンチでターゲットを叩くという新しいゲーム性を実現しました。

ゲーム機以外にも、パチスロ機『モグモグ風林火山』や、高齢者向けリハビリ機器『ワニワニパニックRT』など、モグラ叩きをモチーフにした様々な製品が開発されています。

家庭用玩具

モグラ叩きは、家庭用玩具としても人気を集めています。1977年にバンダイから発売された『モグラたたきゲーム』は、100万個を超える大ヒットとなりました。その後も様々な類似玩具が発売されました。

ファミリーコンピュータでは、1989年にアイ・ジー・エスから専用マットとハンマー付きの『スーパーモグラたたき ぽっくんモグラー』が発売されました。家庭用玩具では、モグラの代わりに頭頂部のLEDを点灯させることで叩くタイミングを知らせる商品もあります。

比喩表現

次々と現れるモグラを叩く様子から、根本的な解決にならない対症療法的な対策を「モグラ叩き」と呼ぶことがあります。特に、開発スピードを重視するあまり、バグの修正が追い付かなくなるような状況を指して使われることがあります。

モグラ叩きは、単純なゲーム性の中に、技術革新や市場の変化、そして文化的な広がりが詰まった、奥深いエンターテイメントです。

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