モゴール人

アフガニスタンのモンゴル系民族：モゴール人

アフガニスタン北西部、ヘラート州のクンドゥールとカレジズィ・ムッラーという二つの村を中心に暮らすモゴール人は、モンゴル系民族です。彼らのルーツは、13世紀にアフガニスタン北西部に駐屯したチンギス・カンの軍隊にまで遡ると考えられています。歴史の風雪を耐え抜き、独自の文化と生活様式を現代まで受け継いできた彼らの物語は、知られざる歴史の一端を垣間見せてくれます。

起源と歴史：チンギス・カンの足跡

モゴール人の起源は、13世紀に中央アジアを席巻したチンギス・カンの軍隊にまで遡ります。その軍勢の一部がアフガニスタン北西部に駐屯し、定住していったことが、モゴール人の誕生へと繋がったと考えられています。幾多の時代変遷を経ながらも、彼らは独自の言語と文化を保持し続け、独自のアイデンティティを築き上げてきました。

生活と文化：ヘラート州の暮らし

モゴール人の生活は、クンドゥールとカレジズィ・ムッラーの二つの村を中心として展開されています。限られた地域に集住することで、彼らは独自の言語や伝統、文化を守り続けてきました。彼らの生活様式、社会構造、信仰、そして日常生活は、モンゴル系のルーツと、長年にわたるアフガニスタンでの生活が融合した独特のものです。彼らの文化を深く理解するには、現地での生活様式や社会構造、そして彼らの信仰体系を理解することが不可欠です。

シャージャハーンという別名

モゴール人は、シャージャハーンという別名でも知られています。これは、ムガル帝国の皇帝シャー・ジャハーンの軍にモゴール人が参加していたことによるものです。ムガル帝国との関わりは、彼らの歴史に大きな影響を与えたと言えるでしょう。この歴史的つながりは、モゴール人のアイデンティティを形成する上で重要な要素であり、彼らの文化や伝統に反映されていると考えられます。

研究の歴史：探検家たちの記録

モゴール人の存在は、20世紀半ばになって初めて広く知られるようになりました。日本の学者、岩村忍氏と梅棹忠夫氏による学術探検隊の調査が、モゴール人の生活や文化に関する貴重な情報を提供しました。彼らの探検記は、モゴール人に関する知識の深化に大きく貢献し、現在でも重要な資料となっています。これらの探検隊の成果は、モゴール人の歴史、文化、生活様式を理解する上で不可欠な情報源であり、後の研究者たちにも大きな影響を与えています。

今後の研究課題

モゴール人に関する研究は、まだ発展途上です。彼らの言語、文化、歴史に関するさらなる調査が必要とされています。特に、近年のアフガニスタンの情勢変化が、モゴール人の生活や文化に与える影響についても、詳細な研究が求められています。彼らの文化の保存と継承のためにも、継続的な研究と関心が不可欠です。モゴール人の歴史と文化を詳細に記録し、将来世代へと伝えるための努力が、今まさに求められています。

参考文献

Iwamura and Schurmann (1954) Notes on Mongolian Groups in Afghanistan, Silver Jubilee Volume of the Zinbun Kagaku Kenkyusyo, Kyoto University.
岩村忍（1955）『アフガニスタン紀行 モゴール族の村を求めて』朝日新聞社
梅棹忠夫（1956）『モゴール族探検記』岩波書店
梅棹忠夫、岩波書店編集部（1956）『アフガニスタンの旅』岩波写真文庫 202、岩波書店
* Schurmann, H. F. (1961) The Mogols of Afghanistan, The Hague.

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