モサック・フォンセカ

モサック・フォンセカの歴史とその影響

モサック・フォンセカは、パナマに本社を構える法律事務所で、特にオフショア金融に関連するサービスを提供していることで知られています。この事務所は、世界的には第4位の規模を誇り、顧客のプライバシーを重視することで顧客基盤を広げてきました。もともとは1970年代から1980年代にかけて、国際的な資金移動の増加を背景に急成長を遂げました。特に、パナマがタックス・ヘイヴンとしての地位を確立する中で、企業設立の支援を行うことによって成り立っていました。

設立の背景

モサック・フォンセカは、創業者であるユルゲン・モサックとラモン・フォンセカ・モーラの2人によるもので、1986年にそれぞれの法律事務所を合併させて設立されました。ユルゲンは、ドイツ出身で1961年にパナマに移住し、その後パナマで法律事務所を開設しました。一方、ラモンはスイスのジュネーヴで国連の職員として働いていた経験があり、パナマの政治にも関与していました。

彼らは1977年、パナマ運河の返還条約が結ばれた年にこの事務所を設立し、以来、オフショアビジネスにおいて次第に知名度を高めていきました。

ニウエへの本社移転

その後、モサック・フォンセカは1994年にニウエに本社を移し、新たな法律の策定を地方政府と共に進めました。この移転により、ロシアや中国などの新興成金層を新顧客に取り込むことに成功しました。しかし、2001年以降には、アメリカ当局から資金洗浄の疑いをかけられる事態となり、同年にはニウエ政府が登録更新を拒否することになります。それでも事務所は他の地域に進出を続け、スワンピー諸島やアンギラへの事務所設立を行いました。

パナマ文書の漏洩

全ての注目を集めることとなったのは、2016年4月に漏洩した大量の機密文書、すなわち「パナマ文書」です。この文書は、モサック・フォンセカが富裕層や政治家のために税金回避手法を支援していたことを明らかにし、国際的なスキャンダルを引き起こしました。事務所は、損害を受けたとしてパナマ検察に対し、ハッキングの被害届を提出しました。

この件に関して、多くのメディアも報道し、モサック・フォンセカは「当社から盗まれた文書への不正アクセスがあった」と主張しました。しかし、2017年には創業者2人が資金洗浄の容疑で逮捕され、その後保釈金を支払わずに3か月後に釈放されます。そして、この一連の事件により、2018年には事務所は廃業に追い込まれました。

結論

モサック・フォンセカは、オフショア金融の中心的な存在として国際的に名を馳せましたが、「パナマ文書」によりその運営方法が広く知られ、事務所の存続に大きな打撃を与えました。これにより、国際的な税逃れや資金洗浄の実態が浮き彫りになり、今後の法律や金融業界における規制強化へと繋がることが予想されます。モサック・フォンセカの例は、法的な枠組みが時折金融活動において如何に悪用されるかを示しており、今後の金融規制の重要性を改めて考えさせる事例となっています。

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