モシャブ

モシャブ（ヘブライ語: מושב‎, Moshav）は、イスラエルにおけるユダヤ人入植村の一種であり、その独特な組織形態が特徴です。モシャブは、従来のキブツ（共同財産制の村落）やモシャバ（個人資本主義的な村落）とは異なり、家族労働力のみで運営される家族経営の農場が、村落単位の協同組合によって緩やかに組織されています。

このモシャブの概念は、シオニスト機構の入植政策顧問であったヴィルカンスキーによって提唱されました。1921年に最初のモシャブであるナハラルが創設されて以来、モシャブはイスラエル各地に広がりました。その結果、現在ではイスラエル国内の村落の過半数がモシャブという形態を取っています。

モシャブの主な特徴は、家族経営の農場を基本単位としている点です。各家族は、自分たちの農地を所有し、そこで農業生産を行います。しかし、モシャブは完全な個人主義的な農村ではなく、村落単位の協同組合によって緩やかに連携しています。この協同組合は、農産物の共同販売や資材の共同購入、地域社会の運営などを担当し、組合員である各家族の生活を支えます。

モシャブは、キブツのような徹底した共同生活とは異なり、家族の独立性を尊重しながらも、協同組合を通じて地域社会との連帯を保つという、独自のバランスを保っています。また、モシャバのような個人資本主義的な色彩も薄く、家族経営を基本とした、より協同的な農村社会を目指しています。

モシャブの成立は、イスラエルの社会経済的な発展に大きく貢献しました。農業生産の効率化だけでなく、地域社会の形成と発展を促進し、イスラエル社会の重要な一翼を担っています。モシャブは、その柔軟な組織形態と地域社会への貢献により、今後もイスラエルにおいて重要な役割を果たし続けると考えられています。

関連語句：

キブツ：共同財産制に基づいたイスラエルの農業共同体。
モシャバ：個人資本主義的な形態を持つイスラエルの農業村落。

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