モジャモジャヤマトガイ

モジャモジャヤマトガイ（毛邪毛邪大和貝）

モジャモジャヤマトガイ（学名：Japonia shigetai）は、日本のトカラ列島に生息する独特な陸産巻貝であり、その特徴的な外観から名付けられました。特に、薄い殻の表面には数多くの毛状突起が見られ、これが日本語名の由来となっています。この貝は、自然研究者の重田弘雄氏にちなんで、種小名「shigetai」が付けられています。

分布

モジャモジャヤマトガイは、鹿児島県に位置するトカラ列島のいくつかの島、特に口之島（タイプ産地）、中之島、平島、悪石島に広く分布しています。これらの地域は、日本特有の生態系を持ち、この貝の生息に非常に重要な環境です。

形態

この貝は殻高や殻径がおおよそ5mm程度で、殻の形状は円錐形をしています。殻質は薄く、赤褐色で、視覚的には生きた状態では透明感のある軟体や付着した土により暗く見えることもあります。特に、螺層（らそう）は5.5層程度で、各層はよく膨らんでおり、縫合部分が深く目立ちます。そのため、殻の外観はとてもユニークです。また、毛状突起は螺状に4列に並び、成長した個体ではこれが失われることもあります。殻口縁は単純で、臍孔（へそこう）は明瞭に開いており、殻径の約1/5程度の大きさです。内側には円形の薄いキチン質の蓋があります。

生態

モジャモジャヤマトガイは、主に照葉樹林に生息し、湿った林床の落葉層やその隙間に見られます。ヤマタニシ科の貝は、一般に植物の遺骸などを食べる習性があり、繁殖は雌雄異体で交尾を行い、産卵をします。特に、落葉層が豊富にある場所で生活するため、この生態系が保たれることが重要です。

分類学

モジャモジャヤマトガイは1985年に最初に記載された種で、タイプ産地は中之島にあります。ホロタイプは国立科学博物館に所蔵されており、そのサイズは殻高4.8mm、殻径4.4mmです。日本にはこのヤマトガイ属の貝が8種（亜種を含む）記載されていますが、モジャモジャヤマトガイは特に毛状突起の列が4列あり、他の種とは一線を画します。

環境への影響と絶滅危惧種

人間による森林伐採が進む中で、モジャモジャヤマトガイの生息地は減少しており、そのため個体数が著しく減少していると考えられています。そのため、環境省のレッドリストにおいて、2012年に絶滅危惧II類（VU）に指定されました。生息地の保護と持続可能な管理が求められています。日本の貴重な生物の一部として、この種を守るための取り組みが必要です。

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