モダーンズ

1920年代パリの華麗なるドラマ『モダーンズ』

1988年製作のアメリカ映画『モダーンズ』（The Moderns）は、20世紀初頭のパリを舞台に、才能ある若き画家と魅力的な女性、そして歴史に名を残す作家たちが交錯する、華麗で謎めいた物語です。

物語の舞台は、芸術と自由奔放な生き方が交錯する1920年代のパリ。 シカゴ出身の売れない画家ニコラス・ハートは、あるレストランで、ミステリアスな魅力を持つレイチェルという女性に出会います。彼女は、謎めいた大富豪ストーンの妻でした。

ニコラスは、ガートルード・スタインのサロンでヘミングウェイなどの著名な作家たちと出会い、そこでストーン夫妻と再会し、予期せぬ騒動に巻き込まれます。ストーンとの決闘を約束する一方、彼はナタリー・ド・ヴィル伯爵夫人から、有名な画家の贋作制作を依頼されます。

豪華なキャスト陣が、個性豊かなキャラクターを演じきります。 ニコラス役にはキース・キャラダイン、レイチェル役にはリンダ・フィオレンティーノ、そしてヘミングウェイ役にはケヴィン・J・オコナーといった実力派俳優たちが集結。さらに、ガートルード・スタイン役にはエルサ・レイヴン、ナタリー・ド・ヴィル伯爵夫人役にはジェラルディン・チャップリンと、個性あふれる俳優陣が物語を彩ります。

映画の脚本は、1960年代から70年代にかけて活躍した著名なジャーナリスト、ジョン・ブラッドショーとアラン・ルドルフが共同で執筆。 ブラッドショーは、映画完成前に亡くなったため、作品は彼への追悼として捧げられています。

映画には興味深いトリビアが多数存在します。 例えば、オープニングシーンに登場する主要登場人物の絵画は、キース・ヴァン・ドンゲンの作品のパロディで、キース・キャラダインが描いたもの。また、脚本は、オードリー・ヘプバーン主演の『おしゃれ泥棒』と共通点があり、パリを舞台に贋作がテーマとなっている点、ヒロインの名前が主人公の名前の女性形である点などが指摘されています。

撮影監督は栗田豊通、音楽はマーク・アイシャムが担当。 アイシャムの音楽は、ロサンゼルス映画批評家協会賞音楽賞を受賞しました。ジュヌヴィエーヴ・ビュジョルドは、本作でロサンゼルス映画批評家協会賞助演女優賞を受賞しています。

日本公開時のプロモーションも話題を呼びました。 ジョン・ローンの『ラストエンペラー』主演がきっかけで、日本での人気が急上昇したため、ビデオパッケージでは彼の姿が大きく取り上げられていましたが、後のDVDパッケージでは、主演のキャラダインとフィオレンティーノが中心に配置されました。

様々な解釈が可能な、奥深い作品です。 日本公開時のパンフレットには、映画評論家や美術評論家などによる寄稿が掲載され、時代背景や登場人物の解釈など、多様な視点が提示されています。

『モダーンズ』は、1920年代のパリの華やかな世界と、その裏に潜む影を描いた、スタイリッシュでノスタルジックな映画です。豪華なキャスト、洗練された映像美、そして魅力的な物語は、多くの観客を魅了し続けています。 1975年にシナリオの初稿が書かれ、12年越しの企画として完成したという逸話も、この作品に深みを与えています。

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