モディリアーニ弦楽四重奏団

モディリアーニ弦楽四重奏団（フランス語名：Le quatuor Modigliani）は、2003年にフランスの首都パリで誕生した弦楽カルテットです。

結成と初期の歩み

このアンサンブルは、パリ国立高等音楽・舞踊学校で学んでいた4人の学生によって発足しました。彼らは同校でイザイエ弦楽四重奏団の指導を受け、研鑽を積みました。結成当初のメンバーは、第1ヴァイオリンがフィリップ・ベルナール、第2ヴァイオリンがロイク・リオ、ヴィオラがロラン・マルフェング、チェロがフランソワ・キエフェルという顔ぶれでした。

結成後まもなく、彼らは重要な教育機会を得ています。2004年には、プロの弦楽四重奏団であるヴァルター・レーヴィンや、作曲家のクルターグ・ジェルジュによるマスタークラスに参加し、表現の幅を広げました。また、同年にはオランダのアイントホーフェンで開催されたフリッツ・フィリップス国際弦楽四重奏コンクールで優れた成績を収め、早くからその才能を示しました。翌2005年には、ドイツのベルリン芸術大学に招かれ、アルテミス弦楽四重奏団と共同で制作活動を行う機会を得ています。同年には、イタリアのフィレンツェで行われたヴィットリオ・リンボッティ・コンクールでも入賞を果たし、その評価を確固たるものにしました。さらに2006年には、アメリカ、ニューヨークで開催されたヤング・コンサート・アーティスツ・オーディションズで見事優勝するなど、国際的なキャリアを順調に築き上げていきました。

特徴的な活動と評価

モディリアーニ弦楽四重奏団は、演奏活動以外にも特色ある取り組みを行っています。2005年9月には、作曲家のカロル・ベファを中心に据えた音楽サークルを立ち上げ、同時代の音楽との関わりを深めています。

彼らの録音も高く評価されています。2008年11月には、ハイドンの弦楽四重奏曲集の録音が、フランスのアカデミー・シャルル＝クロスからディスク・グランプリ賞を授与されました。この録音は、クラシック音楽の専門誌をはじめ、様々なメディアで好評なレビューが寄せられています。また、2009年にはフランスの批評家協会から新人賞が贈られるなど、彼らの芸術性は広く認められています。

楽器へのこだわりも彼らの特徴の一つです。2008年9月には、スイス・グローバル・アーティスティック財団の提供により、19世紀の著名なヴァイオリン製作者であるジャン＝バティスト・ヴュイヨームが手がけた、通称「エヴァンジェリスト」と呼ばれる4挺の楽器を用いて演奏を行いました。現在、彼らはジョヴァンニ・バティスタ・グアダニーニ、アレサンドロ・ガリアーノ、アントニオ・マリアーニ、マテオ・ゴフリラーといった名工による楽器を使用しています。

メンバー変更と芸術監督への就任

2016年9月、結成メンバーであった第1ヴァイオリンのフィリップ・ベルナールがグループを離れました。後任としては、フランス放送フィルハーモニー管弦楽団のスーパーソリストとして活躍していたアモリ・コエトーが迎えられ、2016年12月1日から正式に第1ヴァイオリン奏者として活動を共にしています。

彼らのキャリアにおける大きな転換点の一つは、音楽祭の芸術監督への就任です。2014年、モディリアーニ弦楽四重奏団はエヴィアン音楽祭の芸術監督を務めることが決定しました。この音楽祭は1976年にアントワヌ・リブーによって創設され、かつてはチェリストのムスティスラフ・ロストロポーヴィチが長年芸術監督を務めていましたが、2001年頃に惜しまれつつ中断されていました。13年間の沈黙を経て、エヴィアン・リゾートとモディリアーニ弦楽四重奏団の共同リーダーシップのもと、この歴史ある音楽祭は新たな時代を迎えることになったのです。

国際的な活動

モディリアーニ弦楽四重奏団は、世界各地で演奏活動を展開しています。特に2016年から2017年にかけてのシーズンでは、日本、韓国、そしてアメリカといった国々を巡るツアーを行いました。アメリカ公演では、名高いカーネギーホールを貸し切りにしてコンサートを開催するなど、その活動規模の大きさがうかがえます。日本においては、2016年9月22日と23日に王子ホールにて公演を行い、シューマンの弦楽四重奏曲全3曲に加え、ピアノ四重奏曲やピアノ五重奏曲を披露し、日本の聴衆を魅了しました。彼らの洗練されたアンサンブルは、国際的な舞台でますます重要な存在感化力を持つ存在となっています。

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