モデクゲイ

モデクゲイの概要と歴史

モデクゲイ（Modekngei）は、西太平洋に位置するパラオにおいて1914年頃に生まれた新しい宗教です。この宗教は、パラオの伝統的な信仰（占い師や呪術師の存在など）とキリスト教の要素が融合した形態をとっており、現在では約8.8％のパラオ国民が信者であるとされています。

モデクゲイは、医療や予言、富の獲得を主要な特徴とし、その信仰形態はハイチのブードゥー教やブラジルのカンドンブレに似ています。「ケスケス」と呼ばれる聖歌がこちらの宗教の中心的役割を果たし、パラオの独自性を強調した教義を持っています。モデクゲイという名称は「（神の名の下で）皆、一緒になる」という意味があります。

歴史的背景

19世紀において、パラオはスペイン植民地当局のもとでキリスト教が流入し、これまでの宗教的伝統が影響を受けていました。その後、ドイツ植民地当局は異教の取り締まりを強化し、占い師や呪術師が処罰される事態が多発しました。このような状況から、パラオ人の間に土着の宗教的ムーブメントが芽生え、「白人はもう来ない」といった予言が流行していました。

第一次世界大戦中に大日本帝国海軍がパラオを占領した際、宗教弾圧が緩和され、その隙間を利用してモデクゲイが誕生したのです。1914年、ガラルド村に住む長老のタマダッドが神の啓示を受け、地元の歌を歌うようになったことから始まります。その後、彼の義弟オゲジが加わり、神聖な声として知られるようになります。彼らの神事は次第に広まり、多くの信者が集うようになりました。

モデクゲイの発展

1917年には、タマダッドとオゲジが死者を蘇らせたとされる事件に続いて信者がさらに増加し、彼らのために特別な祭壇も設けられました。しかし、二人の治療行為の結果、病人が亡くなる事件が発生し、これが後に当局による監視と摘発のきっかけとなります。この頃、オマンという日本人がこの宗教の治療法を批判し、告発したことがモデクゲイの運命を大きく変えました。

タマダッドとオゲジは刑務所に入れられましたが、その出所後にはルグールが仲間に加わり、彼らは新たに教義を発展させていきました。モデクゲイの神は新しい価値観を提示し、禁忌の撤廃を説くことで信者を増やしていきました。

取り締まりと対立

1924年、タマダッドが亡くなると、オゲジが指導者となりながらも、その私生活は混乱していました。オゲジは神の名のもとに信者たちに性的要求をし、次第に不満を抱く者も現れました。このことはついに彼に対する摘発につながり、詐欺や姦通の罪での訴追が始まりました。オゲジは1941年にはサイパンで逮捕されています。

戦時下のモデクゲイ

太平洋戦争下では、モデクゲイの信仰が急速に伸び、信者たちがルグールのもとで医療や守護のお守りを求める動きが強まりました。日本軍の兵士たちもこのお守りが好きで、戦後には日本の敗北を喜ぶ声も聞かれました。

戦後の展開

日本の敗戦後、アメリカによる信託統治が始まると、モデクゲイはアメリカ軍にとっての厄介な存在となりましたが、しばらくしてその信仰は衰退します。ルグールが教団の改革に取り組んで禁酒や禁煙を奨励し、伝統文化の教育としてモデクゲイ学校を開校しました。学校ではパラオの伝統文化や一般教育が重視され、質の高い学生が育成されています。

現在、イボバン村はモデクゲイの宗教都市として多くの信者が集まり、定期的に宗教行事が行われています。こうしてモデクゲイは地域の文化と密接に結びつき、パラオ社会に深く根を下ろしています。

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