モニカ・レイエス

モニカ・レイエス：『X-ファイル』における異色の捜査官

モニカ・ジュリエッタ・レイエスは、テレビドラマ『X-ファイル』に登場する架空のFBI特別捜査官です。アナベス・ギッシュが演じ、シーズン8第14話「デッドアライブ Part.1」で初登場しました。彼女は、ジョン・ドゲットと共に、Xファイルの捜査に深く関わります。

キャラクターの形成

シーズン7の最終話は、シリーズの完結を想定していましたが、シーズン8の制作が決定し、新しい視聴者層を取り込む必要性が生まれました。モルダーの登場頻度が減るにつれて、懐疑的なスカリーとドゲットの役割が大きくなったため、超常現象を肯定するキャラクターが求められました。しかし、モルダーと似たキャラクターではなく、ドゲットとは対照的な人物が必要とされました。当初は「カレン・ミラー」、後に「ジェーン・ジョーンズ」と名付けられましたが、最終的に「モニカ・レイエス」となりました。この名前は、クリス・カーターの知人でバンクーバーで画廊を経営する人物に由来します。

アナベス・ギッシュは、プロデューサーからの連絡でオーディションに参加しました。フランク・スポットニッツは、レイエスを「楽観的で信念があり、信仰にオープンなモルダーに似ているが、よりスピリチュアルでニューエイジ的な世界観を持つ」と解釈しました。また、従来の登場人物よりも親しみやすく、セクシーなキャラクターとして描かれました。

シーズン9では、ブラッド・フォーマーがレイエスに好意を寄せるキャラクターとして登場します。これは、視聴者がレイエスをもっと知る必要があったためです。しかし、フォーマーの好意はドゲットとの間に緊張を生み出しました。ドゲットもレイエスに好感を持っていたからです。

ギッシュは、レイエスを演じる際、「超常現象肯定派のレイエスVS超常現象否定派のスカリー」という対立よりも、姉妹のような関係性を重視しました。シーズン9第8話では、レイエスが輪廻転生の輪の中にいることが示唆され、ドゲットとの関係が深まります。これはモルダーとスカリーの関係を模倣したもので、レイエスの過去には影が落とされました。

各シーズンでの活動

登場以前

レイエスはメキシコシティで育ち、スペイン語が堪能です。ブラウン大学で民俗学と神話学を専攻し、宗教学の学位を取得しました。1990年にFBI捜査官となり、悪魔的儀式虐待事件を捜査。その後ニューヨーク支局に配属され、ブラッド・フォーマーと恋に落ちますが、FBIの規則に違反しました。ニューヨーク勤務中、レイエスはルーク・ドゲット少年の誘拐事件を担当しましたが、ルークは遺体で発見され、犯人は特定されませんでした。1999年にはニューオーリンズ支局へ異動しました。

シーズン8

2001年、ドゲットはエイリアンによる失踪事件の捜査でレイエスに協力を求めました。その中にはモルダーの失踪も含まれていました。レイエスはカルト団体の関与を疑いましたが、エイリアンの可能性も考慮しました。モルダーが遺体で発見された後、レイエスは元の部署に戻ります。モルダーが復帰後、レイエスはルーク誘拐事件の助言を求めますが、再捜査は叶いませんでした。5月にはスカリーの護衛を命じられ、バージニア州の農村地帯へ連れて行き、出産を手助けします。その後、レイエスはXファイル課に異動しました。

シーズン9

Xファイル課に配属されたレイエスは、ドゲット、スカリーと共に数々の事件を捜査します。2002年、モルダーとスカリーがニューメキシコ州の砂漠地帯にいることを知り、レイエスとドゲットは急行。無敵兵士と対峙しますが、磁鉄鉱の存在により難を逃れます。モルダー逃亡後、Xファイル課は廃止されました。

シーズン10

Xファイル課閉鎖後、レイエスは重傷を負ったシガレット・スモーキング・マンと接触し、人類浄化計画への協力を持ちかけられます。悩んだ末に、レイエスは取引に応じ、FBIを退職。その後10年間、人類浄化計画の準備に携わりました。2016年にスパルタンウイルスがばら撒かれると、レイエスはスカリーにワクチンの情報を伝えます。スカリーはレイエスの行動に失望しましたが、協力せざるを得ませんでした。

シーズン10（漫画版）

Xファイル課閉鎖後、レイエスはドゲットと共にテロ対策部署に異動。その後、レイエスは別の陰謀を察知しますが、誘拐・監禁されます。

評価

レイエスというキャラクターに対する評価は賛否両論でした。

『エンターテインメント・ウィークリー』のケン・タッカーは、レイエスを「野性的でありながらしなやかさもある」と評しました。一方、ラース・パーソンとロバート・シャーマンは、レイエスを「不自然で楽天的な性格は作品のトーンに合わない」と批判しました。しかし、「秘密」や「4-D」のエピソードでは、レイエスの知性と存在感を高く評価しました。

『ニューヨーク・タイムズ』のジョイス・ミルマンは、ドゲットとレイエスのコンビを「モルダーとスカリーのダイエット・コーラ版」と批判し、カリン・ジェームスは「特徴がなく、モルダーとスカリーの影のよう」と評しました。また、ドゲットとレイエスの関係がプラトニックなままにも関わらず、非現実的だと述べました。

参考文献

Hurwitz, Matt; Knowles, Chris (2008). The Complete X-Files. Insight Editions. ISBN 1-933784-80-6
Shearman, Robert; Pearson, Lars (2009). Wanting to Believe: A Critical Guide to The X-Files, Millennium & The Lone Gunmen. Mad Norwegian Press. ISBN 0-9759446-9-X

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